●次に、マントルの構造はどうなっているのか?
○資料:【図2】マントルトモグラフィ(深度レベルごとの平面図)リンク
マントルトモグラフィの青い部分は固まっている部分、赤い部分は溶けている部分を示す。
○資料:「角田史雄『地震の癖』要点」【図6】「マントルのアリの巣状温度構造」リンク
この図の、灰色は冷たい固体部分、白色〜黄色は固体ではあるが熱が高く柔らかい部分、赤色は溶けてマグマ化している部分を示す。
厚さ3000kmのマントルは冷たく硬い所や熱く柔らかい所が複雑に入り組んで、アリの巣のような状態になっている。その大部分は固体であるが、おそらくは10%程度が溶けていると考えられる。
ここで最大の問題は、表面に近い、深さ100〜200kmの所が一番熱く、溶けていることである。「マントルは内部ほど熱い」という、これまでの常識とは正反対である。
それは何故か?
外核のマグマが重力に逆らって3000kmも上ってくるということは考え難い。唯一考えられるのは高圧ガスや水蒸気の力であるが、噴火で放出される火山灰だけでも凄まじい重量である(ex.縄文時代の九州で噴火した火山灰は北海道でも積もったほどの量である)。しかも、火山は世界中に存在している。それだけの重量を運ぶエネルギー量には到底届かない。
しかし、世界中に火山があるのは事実である。
では、マグマはどのようにして作られるのか?
その答えが、5000〜6000度もの超高温の外核が発する電磁波によって作られるという仮説である。
物質の熱エネルギーが波動の運動エネルギーに転換する。これが電磁波であるが、冷たい岩盤ほど電磁波の反射率が大きいと考えられる。
では、冷たい岩盤の分布はどうなっているか?
日本列島の下の断面図(図6「マントルのアリの巣状温度構造」リンク
)では、深さ100kmより下が熱くなっており、深さ300kmで冷たい岩盤が横たわっている、外核から発した電磁波は地下300km辺りの冷えた岩盤の隙間を通って、今度は冷えた地表面の地盤で反射される。こうして、電磁波は冷えた地表面と地下300kmの冷えた岩盤との間を行ったり来たりして、電子レンジ状態になると考えられる。
また平面図(図9「古太平洋をつくったバイカル変動」リンク
)では、太平洋の両側は冷たく重い岩塊が取り巻いており、太平洋の真ん中の表面に近い部分は冷たい岩盤で覆われている。この冷たい岩盤の間を電磁波が往復する。
このような配置条件を充たす場所、すなわち、冷たい岩盤に挟まれて電磁波が反射する、かつ、柔らかく溶けやすい岩石で構成された場所が熱の通り道となる。熱の通り道は外核から伝わるだけではない。電磁波の往復によって溶かされた場所からも電磁波が発せられ、玉突き的に熱が伝わってゆくと考えられる。
この熱の通り道は、「角田史雄著『地震の癖』表紙」リンクにあるように、深くは南極近くから始まって上昇し、ニュージーランドの南域で三方に分かれる。地中海方面へ向かうルート、南米のチリへ向かうルート、アジアに向かうルート。アジアルートはさらに、3ルートに分かれる。
@スンダランド(ジャワ)→スマトラ→四川→黄河流域というルート
A台湾→九州→西日本→信州・東北と日本列島を貫くルート
Bマリアナ諸島→伊豆諸島→日本列島へ入るルート
熱の通り道と言っても、常にマグマがあるわけではない。時には溶けてマグマ化し、時には冷えて岩化している。
ある場所が電子レンジ状態になると、溶けたマグマが電磁波を出し、熱の移送ルートの次の場所を玉突き的に温めてゆくと考えられる。こうして、熱が移送していくのが、マグマ化説(熱移送説)の仕組みである。
この配置条件を充たす、つまり冷たい岩盤に挟まれている最たる所が日本列島であり、それに次ぐのが地中海や南米である。
電磁波によって岩盤がマグマ化すると考えれば、プレートがどのようにしてできたのかも説明できる。
例えば、プレートの境目にある日本海溝の下には、5億年前には最も熱い熱の通り道があったと考えられる。その熱でプレートが熱せられて折れ、太平洋側のプレートが乗っかっているスポンジのような温かい岩磐層が、上のプレートの自重で10km沈んでできたのが日本海溝である。そして、大陸側のプレートが沈んでゆくと熱の通り道が左(西)にずれてゆく。こうして、最も熱い通り道が日本列島の下にできたと考えられる。
造山運動もマグマ化の仕業である。
ヒマラヤも元は海底であった所が、その下にある熱の道によって岩盤が押し上げられて高くなったものである。プレート説では、プレート同士の圧縮or沈み込みによって説明しようとするが、それでは(砕けた岩石が8000メートルまで積み上がったとは云えても)海の底が海の底の表面を保ったまま高さ8000mになることは説明できない。
また、黄河が曲がっているのも、その下にあった岩盤が押し上げられ、とりわけ黄土高原の南側が盛り上がったためである。
熱くなって膨張したのが、冷めても沈まなかったのは何故か?
火山は凄まじい量の噴煙を放出するが、この噴煙は岩盤が砕けたものである。ということは、熱の通り道は溶けた岩盤群も運んでいると考えられる。つまり熱の通り道によって、地下の岩盤量(容積)も増えているのではないだろうか。
火山爆発だけでは日本列島もエベレストもできない。噴火を何度も繰り返す噴煙の原材料が、その都度運ばれてきていると考えるべきだろう。
そうして運ばれてきた岩盤の残骸が積ってゆくと高い山になる。あるいは、火山噴火で流されたマグマや噴出物の堆積で山が高くなる。両方のストーリーが考えられる。
☆『地震の癖』のマントルトモグラフィリンクでは、ヒマラヤ周辺の深さ300kmまでは冷たくなっている。400〜600kmの深さでは熱くなっている。ヒマラヤは熱の通り道が通常より深い所or浅い所を通っているのではないか? それを検証するためには、もっと詳しいマントルトモグラフィが必要。 |
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