実現論を塗り重ねてゆく
249786 言語系統を中心とした中国の少数民族の分類と分布
 
たっぴ ( 35 京都 会社員 ) 11/04/18 PM10 【印刷用へ
現在中国にはおよそ12億5000万人の人々が生活している。中華人民共和国には漢族を始めチワン族、モンゴル族など、実に多くの民族が住んでいる。そのなかで、大多数を占める漢族以外の人々は、少数民族と総称されている。
( ⇒民族分布総数と図版 参照:リンク )

中国政府の公式見解では、55の少数民族が存在しているとのことだが、この少数民族の認定は政治的な判断が優先されており、実態と合わないともされている。少数民族の総数は9400万人を超え、全人口の約八%程度を占めいている。また、少数民族は、中国の国境周辺部に多く、2万1000kmにわたる陸地の国境線のうち1万9000kmが少数民族の居住域となっている。

以下に、『言語系統を中心とした中国の少数民族の分類と分布』をとりあげます。

中国少数民族事典 東京堂出版 リンク
より以下転載します。

それぞれの少数民族は、居住する地域の自然条件に上手に順応した形で独自に文化を形成し、生活を送ってきた。すなわち生活の経済的基盤となっている生業形態に関して、北方では、西部から東部へ移行するに従って、乾燥した遊牧地帯から極寒の狩猟地帯へと変わっていく。
一方、南方においては、東部の肥沃で湿潤な水田稲作地帯から、西部の山間部における伝統的な焼畑農業地帯へと変わり、さらに、西方の青蔵(チンツアン)高原を中心とする地帯では、牧畜を主要な生業とする地帯となっている。このように、それぞれの異なった自然環境のなかで展開する生業形態のもと、少数民族の生活様式に関してはかなりの相違が見られる。

本書では、これらのさまざまな点をふまえて、中国に居住する民族の分類を行った。分類の基準としては、それぞれの集団が日常的に使用している言語系統を主体とする言語圏を中心に、生活の経済的な基盤となっている生業形態や、それに付随する文化要素などを最大限加味した。
とりわけ言語系統のほかに、経済や文化要素を分類の基準として重視するのは、それぞれの言語圏が経済や文化要素と一致する場合が大変多く見られるからである。

以下では、少数民族の分類と分布の特色を列挙する。しかし、言語学上からいえば、インド・ヨーロッパ語族以外の、それぞれの民族が使用する言語に関しては、系譜関係が科学的に証明されていない。そのため、言語学の専門書や学術論文では、インド・ヨーロッパ語族以外のそれぞれの言語のまとまりをあらわす語族、語群、語系などの用語は使用できないとされている。しかしながら本書の性格上、語族、語群、語系という用語を用いて分類し、説明したほうが理解しやすいと思われるので、便宜的ではあるが、これらの用語を用いて区分した。

★中国全土に広範囲にわたって居住する少数民族の中心は、
属する集団の数からいっても、@【アルタイ語族】とA【漢・チベット語族】の両語族に属する集団といえる。

@【アルタイ語族】はさらに『ツングース語群、朝鮮語群、モンゴル語群、チュルク語群』の四語群に細区分される。この集団に属する民族に共通した特徴は、その多くが西部から順に東部に向かって、天山山脈、アルタイ山脈、ゴビ砂漠、大興安嶺山脈とつづく中国北部の山岳、砂漠、草原地帯を主要な居住地帯としている点である。そのため、アルタイ語族に属する民族が居住する地域は降水量が少なく、水田稲作はもちろんのこと、畑作も不可能な土地が多い。したがって、『エヴェンキ族に典型的な狩猟、モンゴル族に見られる遊牧、ウイグル族に多い商業など、農業以外の産業を伝統的に生業の中心』としてきた。
ちなみに、日本語もこのアルタイ語族に属するとする学説が有力である。

一方、
A【漢・チベット語族】は、『漢語群、チベット・ビルマ語群。ミャオ・ヤオ語群、カム・タイ語群』の四語群に大きく区分されている。
漢語群に属するのは漢族と回族の二つの民族だけである。そのうち回族は、主として十三世紀以降中国に来往した『トルコ系、イラン系、アラブ系などの異民族集団が、主要都市や、古くから新疆への要路に当たってていた河西回廊(かせいかいろう)地帯に多数すみついたもので、いずれもイスラム教を信仰しているという点で共通している。
このように、回族は本来異民族であったが、長期間にわたって中国に住み付いた結果、漢族の血が混じり、言語、風俗などが大きく漢化してしまったので、漢語群に分類されることとなった。なおアルタイ語族ツングース語群に満州(満)族も、清王朝以来長い間漢族とともに暮らしてきた。そのため満州語を忘れ、漢語、漢字を用いる者が大多数を占めるようになった。このことから、満州(満)族を漢語群に入れる場合もある。

上記の『チベット・ビルマ語群』の集団は、大きく二つに分けられる。
すなわち青蔵高原に隣接する青蔵高原を中心に分布し、主として牧畜によって生計を立てている『チベット語系の集団』と、青蔵高原に隣接する青海省、四川省、雲南省などの山間部に集中的に居住し、農耕などに従事する『イ語系の集団』である。両語系の集団の共通の特色は、チベット仏教(ラマ教)の信者が多いことである。

『ミャオ・ヤオ語群に属する集団』は、雲貴(ユンクイ)高原に代表される中国西南部の山地を中心に居住している。伝統的には焼き畑農業や狩猟などに従事し、数年後には新しい耕地や狩猟を求めて移動するという移住生活を送っていた。現在では国家の政策もあり、定住生活をし、山腹斜面に造成された常畑や棚田などで、主として天水利用による稲作中心の農業に従事している。

『カム・タイ語群の集団』は、河谷を流れる河川水などを灌漑して農業用水として利用した水田稲作が生業の中心となっている。居住地域の中心は、中国西南部に点在する山間支谷平野である。したがって、ミャオ・ヤオ語群とほぼ同地域に居住することになるが、両語群の各集団は、海抜高度による住み分けを明確に行っている。
『カム・タイ語群の集団』は、ミャオ・ヤオ語群の集団ととに、近年日本文化や日本民族の起源との関連で注目されることが非常に多い。なお従来この語群は、トン・タイ語群と称されることもあったが、トンとは漢族による他称で、自称はカムであるので、本書ではカム・タイ語群と呼ぶことにした。
このほか、インド・ヨーロッパ語族、オーストロアジア語族、オーストロネシア語族に属する集団も存在する。しかしその数は少ない。

(中略)

宗教に関しては、漢族は伝統的に仏教と道教、回族はイスラム教、東北地区に居住する満州(満)族やモンゴル族は宗教職能者であるシャーマンを中心とするシャーマニズム、南西中国に分布するミャオ族やトン族などは土俗信仰、ロッパ族、メンパ族などはチベット仏教(ラマ教)をそれぞれおもに信仰するなど多様である。
 
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