実現論を塗り重ねてゆく
249482 聖書で強化された禁欲主義
 
辻一洋 ( 45 北海道 企画 ) 11/04/14 PM06 【印刷用へ
聖書が市民に広まったのは、ローマ帝国が混沌とした4〜5世紀に、ローマ教皇ダマスス1世の強い支持と後援を受けた神学者ヒエロニムスが聖書をラテン語に翻訳したことに起因する。(市民=知識人。大衆のほとんどは文字を読めなかった)


(以下リンク 「総合心理相談 ES DISCOVERY」から引用)

ヒエロニムスは、人間は生まれながらにして罪人であるという『原罪』の概念を非常に重要視し、自分自身が赦されざる一番の罪人であることを自認してさえいました。『キリスト教の獅子』と呼ばれるような強靭で排他的な精神力によって、キリスト教の正統教義を確立していったヒエロニムスは『罪に対して赦す事の無かった人』として知られ、『禁欲・節制・勤勉』などの徳目の実践にこだわりました。ヒエロニムスは性的興奮や好ましからぬ欲望を引き起こす『女性の身体性』を『原罪の根源』として認識しており、女性との身体的な接触を病的なまでに嫌っていました。この辺は、若い頃には女性と放蕩三昧を尽くして肉の喜びを知っていた聖アウグスティヌスとは対照的なのですが、ヒエロニムスは徹底した『禁欲の聖職者』であり、エロスの喜びは精神的堕落の最大の原因と見なしていたのです。

こういったヒエロニムスの女性恐怖や身体的快楽の蔑視は、『男尊女卑的な中世的偏見』を助長する好ましくない影響をもたらした。

(略)

ヒエロニムスは卓越した聖書研究者であり優れた人格を持つ聖職者でしたが、彼の問題点は何事も徹底的に突き詰めなければ気が済まない『強迫的な完全主義』でした。極端な禁欲主義の実践を唱導したヒエロニムスは、『女性が性的なことを空想するだけで罪である・処女性を失った女性は深い罪を犯している』と語り、一度『性的な罪悪』を犯した女性は決して完全な免罪を得ることは出来ないとしました。このエロスを罪悪とする極端な考え方は、『暗黒の中世』を象徴する男尊女卑(女性差別)を強化する作用をもたらし、女性の性的逸脱(エロスの過剰)に対する私的制裁を正当化するような野蛮な帰結へと至ります。男性の心を惑わした魅力的な女性を魔女(悪魔)だと独断的に認定して処刑するような『魔女狩り』も、こういった女性の身体性やエロスを忌避する信仰の延長戦上にあったと考えられます。

引用ここまで


当時、ヒエロニムスやアウグスチヌスらによってキリスト教とギリシャ哲学(ことにストア思想)の統合が進められ、聖書に反映されていった。彼らの禁欲主義への共感がその後のキリスト教倫理思想へ強く影響していくことになったのである。
 
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