日本経済新聞12月3日夕刊トップ、『自治体、円高で損失拡大 仕組み債の利払い膨らむ』とのタイトルが目に付いた。
一瞬、「円高(為替変動)と地方自治体財政に、何の関係があるんだ?!」と強い違和感をもった。
日経記事の内容そのものは、『ニセコの俺』さんが紹介してくれています。
仕組み債の罠
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>1ドル=100円を突破するような円高になると支払い金利が跳ね上がる仕組み債を2006〜07年ごろに発行し、今になって利払いが膨らむ地方自治体が増えている。岩手県や新潟県、堺市などが一定以上の円高になると金利が急騰する条件を設定し、足元の利払いが年6%を超えたりする例が出ている。
>総務省によると08年末で17の自治体が総額4200億円の仕組み債を発行している。多くは1ドル=120円前後の相場水準だった06〜07年ごろに、1ドル=100円を突破する円高になるような事態は考えにくいとみて、発行したとみられる。その後、08年秋のリーマン・ショック後に円高が進んで「金利急騰」の条件に引っかかり、1ドル=80円台の現在は利払い負担が膨らんだようだ。
地方自治体は、国内業務のみを行う団体であり、日本の円で税収が入り(日本の円で地方債を発行し)、日本の円で予算を執行している。
どこにも、一切、ドルとの関係はない。
何故、ドル/円の為替レートに連動して、発行した地方債(地方自治体借金)の支払い金利が高くなったり、低くなったりするのかサッパリ分らない。円/ドルレートを組み込んだ地方債を発行した、自治体財政担当者の頭は狂っている。そして、それを推奨した総務省の罪も重い。
全ての自治体は、税収不足を賄うために、毎年、地方債を発行し続けている。この地方債は、地元銀行を中心にして、固定金利でもって発行してきた。その市場規模は巨大である。しかし、そのもとでは、地元銀行(地方銀行)が中心となり、東京に本店を構える巨大銀行や証券会社には、新規参入の余地は小さい。
そこで、竹中平蔵と証券勢力が、地方債協会に『地方債に関する調査研究会』なるものをつくり、「地方公共団体における仕組債等の資金調達の多様化」を打ち出したのである。 リンク
委員会のメンバーには、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、日興シティグループ證券の外資系や野村證券を始めとする証券会社が並んでいる。
そして、日本銀行出身の河村小百合・日本総研主任研究員が主査(多分)を務めている。
(参考)「自治体財政自立と地方債新時代」をテーマにシンポジウムを開催 リンク
基調講演は、竹中平蔵で「地方分権と財政自立」なのである。
河村小百合女史がパネリストを務めている。
地方債協会のレポートでは、円の世界である地方債発行を、何故、ドル/円の為替に関係づけるのか、どこにも書かれていない。巧妙に隠されている。
ドル/円レートを条件づけた仕組み債を商品開発した証券会社担当者は、確信犯である。一方、それを受け入れた自治体財政担当者は、一度もドルがどう関係するか検証していない。
素晴らしい金融商品のように見せかけるダマシと、そのダマシを疑っても見ない地方財務官僚。これは、狂った世界だというしかない。
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