実現論を塗り重ねてゆく
240843 ネアンデルタール人研究最前線の整理
 
川井孝浩 HP ( 37 東京 設計 ) 10/11/16 PM05 【印刷用へ
2006年12月
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ドイツとアメリカ合衆国の共同研究チームが、3万8,000年前にクロアチアの洞窟に住んでいた一人のネアンデルタール人(男性)の骨から採取したゲノムの一部を解読。

ネアンデルタール人は約3万年前ごろに絶滅した種であり、現生人とは同時期に生息地域が重なっていた。

両種のゲノムの相同性は99.5%であり、今回の結果とこれまでの知見を総合して考えると、両種が分岐したのは37万年以上前であることが示された。

2008年8月
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3万8000年前に存在したネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの配列解析を行なった科学者たちは、現代人の祖先がネアンデルタール人と交配した証拠を見つけられなかった。

ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器作製技術を有し、火を積極的に使用していた。脳容量は現生人類より大きく、男性の平均が1600cm3あったとされる(現代人男性の平均は1450cm3)。

2010年5月
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ほとんどの現代人がネアンデルタール人とのつながりを持っていることが明らかになった。遺伝子構造の少なくとも1〜4%はネアンデルタール人に由来するものだという。

研究では、遺伝子解析により、現生人類(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)の異種交配を示す確かな証拠が発見された。ネアンデルタール人はおよそ3万年前に絶滅した人類の近縁種である。

また、現生人類とネアンデルタール人は中東地域で交わった可能性が高いとも結論付けている。従来の研究ではヨーロッパが第1候補地と考えられてきたが、実際には現生人類がアフリカから旅立った直後だったようだ。

ネアンデルタール人と現生人類が異種交配した期間は、現生人類がアフリカを旅立った直後、さまざまな民族集団に分かれて世界中に散らばっていく直前だという。最初の交配は約6万年前の中東地域で発生したと考えられる。アフリカに隣接しており、2つの種が一時期共存していた考古学的証拠も存在するという。

〜〜〜〜〜

以上、近年の遺跡及びDNA解析の結果として発表された研究成果から推測できる事としては、そもそもホモ・サピエンス(現生人類)とネアンデルタール人(旧人)とをわざわざ別の種と見做す価値観そのものを切り替えたほうが良いのではないかと思われる。

人類の出アフリカ〜拡散の過程を含めて整理すると、以下のようになる。

【原人】150万年前   最初の出アフリカ⇒中東経由で、スンダランド地域(東南アジア周辺海域)に定住
【旧人】30〜40万年前 2度目の出アフリカ⇒ヨーロッパ〜地中海沿岸地域に定住
【新人】13〜09万年前 3度目の出アフリカ⇒中東地域〜ヨーロッパ周辺で、一部は先住民族と合流、混血。

出アフリカの主ルートは中東地域経由であり、必然的に先発組の定住地域周辺を辿る事になる。そして、その後3万年前くらいまでは、両者が共存していた事は明らかであり、単一集団同士が近接し共存していた中で、同類としての交流があったと考える方が自然であろう。
ただし、母系社会である為、先住民側(ネアンデルタール人)、及び後発側(ホモ・サピエンス)それぞれの母系の血は保たれたままでの民族交流であったと考えられる。これは、ミトコンドリアDNAに混血が見られない理由とも繋がる。

ここで着目すべき事は、出アフリカは常に逆境期であったという点。13〜9万年前は、かなり厳しい旱魃に見舞われ、当時の人口はわずか2千人程度(もちろん、全世界人口)にまで減少したと推測されている。絶滅寸前の状態だ。

定住域(アフリカの洞窟)では食糧確保が困難となり、小集団に拡散、その一部が北上し、アフリカを出た先で先住民と出会う事になる。命がけの決死行に出た先で、ほぼ姿形の変わらない他者と出会えたとしたら、それは喜びと感謝に充ちた出会いであったのではないだろうか?

むしろ、争う理由を見つけるほうが困難なくらい、貴重な出会いであったと考えた方がしっくりくる。

また、ちょうどこの10万年前辺りは、旧人、新人共に石器文化が急速に進化する時期でもある。この点から見ても、多地域適応の中で身に付けた観念能力の組み換え、つまり他集団同士の交流による多様化が一気に推し進められた事によるものと考える事も可能である。

しかし、そうは言ってもまだまだ洞窟暮らしの域を出ていない時代の出来事。つまり、道具を多様化させる事でなんとか採取生産の幅を広げつつも、極限生活であった事には変りはない。

とすれば、3万年前に何故ネアンデルタール人が絶滅したのか?と考えるより、ホモ・サピエンスが奇跡的に逆境を乗り越えられたが故に、原生人類に至る系譜がその後も続く事になった、と考えるべきなのであろう。

極めて弱い生き物であったが故に、唯一の可能性である共認機能、そして観念機能に可能性収束し、様々な工夫・論理的思考と実践の積み重ねの中で、辛うじて生き残る事が出来た。この、常にギリギリの状態を乗り越えて来たその紐帯部分は、仲間達との助け合いと、それを可能にした、決して諦める事のない期待・応合の掛け合いであったのだろう。
 
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