日本人の起源(縄文・弥生・大和)
238217 縄文人の信仰はいかにして受け継がれたか(2)弥生時代の農耕神と祖霊祭祀の登場
 
小暮 勇午 ( 32 京都 路上人 ) 10/09/21 AM00 【印刷用へ
■弥生時代の稲作伝播と青銅器祭祀の広がり

縄文時代後期、越人によって(朝鮮半島経由で)稲作がもたらされたが、縄文人がその生産様式を大規模に受け入れることはなかった。
そもそも、狩猟採集生産や漁猟採集生産を、豊かな自然の中で営んでいた縄文人にとって、必要性が薄かったからだ。また、大規模に耕作地を開拓する必要がある稲作は、具体的な自然物一つ一つに神が宿るとしていた縄文人にとっては、受け入れがたいものだったからだろう。

しかし、紀元前4世紀ごろ(2400年前ごろ)から渡来人と共に鉄と青銅器が伝えられると、稲作は全国的な広がりを見せ始める。
中国大陸では青銅器文明の後に鉄器文明へと移行していくが、紀元前4世紀ごろには製鉄技術が確立されており、日本にはほぼ同時に伝来してきた。当時、鉄器は武器や農耕器具の原材料であり、磨けば光り輝く青銅器は祭祀器具の原材料であった。

渡来人が勢力を拡大していくにつれ、鉄製の農機具も広がりを見せ、寒冷化し自然の恵みが減少していた日本列島人にとって農業生産は魅力的に映ったことだろう。
また、越人は稲作技術と同時に、農耕神信仰をも持ち込んだ。多神教世界で生きてきた縄文人にとって、農耕神を受け入れることに抵抗は少なかっただろう。しかし、元来、自然物一つ一つに神を見出していた縄文人は、農耕祭祀を土地祭祀と一体化させていく。つまり、耕す土地の神を鎮めるための祭祀を生み出していくことになる。この時使われたのが、青銅器だった。(戦争が激しかった九州地方では、豊穣の期待よりも戦勝期待が高まり銅剣・銅矛が埋納された。戦争が激しくなかった畿内では、豊穣を期待する農耕祭祀が大きくなっていき、銅鐸が埋納された。)

ここで生まれた農耕神は、縄文信仰と一体となっていたこともあって、「移動しない」。だから、新たな水田を開拓すれば、その度に新しい農耕神が必要となった。実際には、「分霊」しながら農耕共同体が信仰する農耕神が、勢力範囲を拡大していった。

■祖霊祭祀の誕生

農耕と同時に私有意識も持ち込まれたため、農耕共同体での指導者層が徐々に固まっていく。また、農耕共同体の規模拡大に伴い、農耕集団同士の緊張圧力の高まり→戦争圧力もあって、守護神信仰が高まっていった。
農耕共同体の指導者層は中国大陸からもたらされた支配概念を用いて、共同体の安定の為、支配を正当化する必要に迫られる。そこで生まれたのが、指導者層の祖霊を守護神と重ね合わせて信仰する、祖霊信仰だった。

この時代には、自然信仰が残ってはいたものの、農耕共同体における重要な祭祀は、農耕祭祀と祖霊祭祀へと移行していた。
 
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