日本人と縄文体質
237438 縄文土器が複雑化していったのは、なぜか?
 
小暮 勇午 ( 32 京都 路上人 ) 10/09/06 PM09 【印刷用へ
縄文時代中期〜後期の複雑化した縄文土器は、環状集落が発達した地域と一致する。つまり、人口密度(≒集団密度)が高い地域で、縄文土器は複雑化している。(逆に、人口密度が低い北海道などの地域では、簡素なままであった)

人口密度≒集団密度が高まっていったのは、なぜか?
縄文土器が複雑化していったのは、なぜか?

縄文時代前期は、地球が温暖化していった時代でもあった。1万1千年前(縄文早期)から温暖化しはじめたため、縄文中期にかけて食料が豊富に採れるようになり、飢餓から解き放たれ始める。

>一般に危機状況では、危機を突破しようとする意識的な実現志向が強く生起するが、その実現可能性は小さい。他方、充足状況では、無意識に近い弱い実現志向しか生起しないが、その実現可能性は大きい。
豊かさが実現され、生存圧力が弛緩すると、闘争の実現可能性よりも充足の実現可能性の方が大きいので、人々がそちらに向う結果、闘争よりも充足の方が価値が高くなる。つまり、闘争よりも充足の方が、挑戦よりも安定の方が大切になる。従って、闘争(仕事)志向や挑戦(創造)志向よりも、充足志向や安定志向の方が強くなる。(213622 潮流3:’70年、豊かさの実現と充足志向)

充足志向→安定志向が強まっていった結果、食料が豊富だったこともあって、縄文人の定住化が進んでいく。豊富な食料生産に支えられて、人口も増加し集団規模が拡大していった。
見知らぬ他集団との接触に際して、それまでの499万年間「仲間第一」「仲間が全て」である共同体集団として生き抜いてきた人類は、生活必需品ではなく希少価値の高い物を贈ることで集団間の緊張を緩和しようとした。道具の材料となる黒曜石や、装飾品の材料となるヒスイやコハクなどが贈与された。

しかし、近辺の集団同士では、地域特性のあるモノに希少価値は余り無い。そこで、製作技法を他集団以上に著しく上昇させることで、(縄文)土器を「贈与するもの」とし始めたのでは、ないだろうか?
縄文中期〜後期に盛んだった生産様式は採集生産であるが、主要な生産を女が担うため、防衛力を期待された男の時間は余っていた。その時間が、集団間の緊張を緩和するための役割=縄文土器の高度化に使われたと考えられる。

「贈与」とは、集団間の応合性の発露であり、珍しい土器の方が喜ばれる(評価される)。また、集団間の距離が近くネットワークが形成されている場合、様々な集団から工夫された土器が「贈与されてくる」ため、更なる応合をと、”凝った”土器を作ろうとする縄文人がいたとしても、不思議ではない。

つまり、複雑に抽象化された縄文土器とは、縄文人の(他集団に対する)応合性の発露であって、世界にも類を見ない高い芸術性は、縄文人の高い応合性に支えられていたのだ。
 
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