生物の起源と歴史
233566 神経系の構築に応じて、リンパ球系が形成されたと思われる点
 
喜田育樹 ( 37 京都 デザイナー ) 10/06/22 AM01 【印刷用へ
神経系の進化とリンパ球系免疫細胞の進化は密接に連関していると思われる点が幾つかある。

リンパ球系のT細胞は、成熟した免疫細胞となれるのはごくわずかで、未熟細胞の段階で胸腺にて9割以上が淘汰される。(約5%が合格)
胸腺にて淘汰されるT細胞は、MHCを認識できずに自己細胞を攻撃する細胞や、反応が高すぎる細胞で、そのようなT細胞はアポトーシスを促されマクロファージに貪食される。胸腺はいわば正常なT細胞を作り出す教育機関といわれているが、この胸腺と似た性質を示しているのがグリア細胞の一種である星細胞である。

◆類似点1〜正常な成熟細胞を創る教育機関〜
胸腺と星細胞の類似点の一つは、未熟細胞から成熟細胞に至るまでの過程に存在する細胞で、正常に機能する細胞を創り出す役割を担っている点。胸腺が正常なT細胞を創り出すのに対し、星細胞は神経細胞の正常な機能や栄養を与える細胞である。

◆類似点2〜神経堤から分化した細胞〜
胸腺と星細胞は、ともに外肺葉(神経提)由来の細胞。神経堤は、脊椎動物の胚に過渡的に存在し、神経管が形成される時期に神経管と表皮の間に位置する組織で、胸腺や星細胞のほか、神経細胞や骨細胞などに分化する細胞でもある。このことからも、免疫と神経系、脊椎等の骨格系は密接な関連をもって進化してきたように思える。

◆類似点3〜大量の細胞を作って淘汰する仕組み〜
T細胞と神経細胞の類似点は、大量の細胞をまず作り、正常に機能しない殆どの細胞はアポトーシスで淘汰するという過程を経ている点。T細胞はウィルスの多様な変異性に対応するため、遺伝子再構成を経て多様な膜タンパクをもつT細胞を創り出すが、その殆どが失敗作でごく一部の細胞のみが機能する。神経細胞もそれに似た形で大量の神経細胞を作り出し、うまく神経細胞同士が手を結べなかったものは淘汰されていく点。

◆類似点4〜接着因子も免疫グロブリンも同じ認識分子群の膜タンパク〜
神経細胞が他の体細胞との伝達経路を作っていくためには、体細胞に応じた接着因子の膜タンパク質が必要。この接着因子の膜タンパク質は遺伝子重複から創られるが、この遺伝子重複から遺伝子再構成へと組み替えを発展させて創ったのがMHCやT細胞受容体、抗体など。つまり神経系の膜タンパク質を作る仕組みを発展させたのが、リンパ球系の膜タンパク質と思われる。

以上の点から、神経系の構築によって登場した課題に応じてリンパ球系が構築されたと思われる。リンパ球系の免疫細胞はウィルスへの対抗を主要な役割としているが、神経系の構築によってウィルスの問題が顕在化したということが考えられる。

◆参考サイト、文献
免疫と胸腺の共通性
リンク

免疫学第4版/メディカル・サイエンス・インターナショナル
 
List
  この記事は 233563 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_233566
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
免疫って何?(10)〜リンパ球の起源〜 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 10/07/02 PM08

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、49年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp