日本人と縄文体質
226493 単一民族日本が持つ特殊性と可能性について
 
田野健 HP ( 49 兵庫 設計業 ) 10/02/15 AM03 【印刷用へ
この間、網野善彦氏の海洋民族としての縄文史観を踏まえて縄文時代と弥生以降を繋ぐキーワードが出てきましたので一旦ここでまとめておきたいと思います。

日本列島は大陸の東の果てにあり多様な民族の終着点として位置しています。にもかかわらず、単一民族であるという見方に違和感のある人は少ないと思います。この単一民族としての根拠は言語が通じるという事に加えて相手の言っている事が即座に理解できるとか、情報を伝えるのが正確で早い、など大和以降のその後の歴史を俯瞰する上で非常に重要な日本特有の条件になっていると思います。

例えば、海外から多くの技術や文化が入ってきますが、日本はそれをかなり早い速度で広域に伝え、平準化しさらには日本なりに改編するといった離れ業をしてきました。稲作文化、青銅鉄器技術、仏教、漢字が顕著な事例で、近年では欧米文明、古くは土器や縄文語も同質の文化が広域に存在していました。

現在のように国や官僚という統合機関がなく、情報伝達の手法もマスコミや電話などという文明がない時代においてこのようなことが可能になったのは何故でしょうか?

この間、「縄文と古代文明を探求しよう」でも追求してきたのですが、以下の条件が重なって縄文時代晩期にすでに複雑かつ多様な情報ネットワークに支えられた広域での共認基盤が出来上がってきたものと思います。

1.【日本列島の国土の特徴】
大小併せて3700からなる島国である〜渡来民がいずれも航海を経てたどり着いており、基本的には海洋民である。海洋民であり、移動手段は船により、陸路より伝達速度が速い。これが単一民族日本を読み解く上でのベースになると思う。

海、河川が多い〜日本列島は火山興隆の影響で国土に多くの河川が網の目上に巡らされており、海岸線と川と少しの陸路を使う事で列島を横断したり縦断したりすることが可能だった。これは川や海が情報ネットワークとしてのインフラの役割を示している。

2.【縄文時代の温暖化による集団分化によるネットワーク形成】
縄文時代の温暖化は前期から中期にかけて現在より平均気温で2度以上高い状態を数千年経過しており、その時代に人口を増やす事で集団は広域に分派分散していった。採取生産は農耕生産に比べ広域の縄張りが必要で、ある人数を超えると分派する必要が生じ、隣接する縄張りには入れない為必然的に海や川を使って遠方へ分派集団は移動していった。それの繰り返しにより、血縁を通じた広域のネットワークが形成された。
分派集団は個々に地域に合った産物を専属的に生産し集団間で交換するという分業化集団に転化し、古代の製塩、石加工工場などを形成する。

3.【贈与関係による物資、文化、人の交流】
人口の増大により縄張りが接近すると緊張圧力がいたるところで生じる。採取部族はこの緊張関係を緩和し、互いの縄張りを認める為に贈与関係を構築し、集団間での闘争を回避した。
この関係が長く続くとさらに集団間の友好関係を構築する為に互いに婚姻関係を使って血縁を作るなど贈与システムを適用させる事で、ほどほどに繋がりながら互いの集団として自立は認める「連合」という集団関係を作り出した。(これは後の古墳時代の関係に繋がっていく)

4.【分派・贈与ネットワークの集合体が単一民族としての日本を形成した】
単一民族としての日本は最初から出来た訳ではない。縄文時代1万年を通じて上記のような交流を繰り返してきた帰結として出来上がってきたのではないだろうか?
3)で提示した分派ネットワーク、4)で提示した贈与ネットワークが多様に繰り返され、重層的に重なり、個々の集団共認が全ての集団に少しずつ関わっていく事で単一民族としての共認形成をなして言ったのだと思う。

どこに行っても言葉が通じるというのは世界的にも稀な状態である。これがあったからその後の高度な文明を短期間で受け入れることも変化させる事も可能になった。また国という単位が出来上がる前に既にそれらが形成されていたことは米文化や古墳様式の伝達速度を見ても明らかであり、大和は縄文時代の共認ネットワークの上に形式上の国を作ったに過ぎなかった。

以上1)〜4)の特徴は日本市場の特殊性や近年になって登場したメディアのありようにも繋がるものがあり、日本はすでに「縄文時代に単一民族としての共認基盤があった」という仮説を日本の特殊性、可能性として提起しておきたいと思います。
 
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