日本人と縄文体質
224050 わびさび考察〜わびさびは騙しのツール〜
 
阿部佳容子 ( 47 大阪 営業 ) 10/01/12 PM00 【印刷用へ
人間主義(ヒューマニズム)を旗印として文化が繁栄したルネッサンス時代とほぼ同時期、日本の支配階級・特権階級の間にも一世を風靡した文化様式が出現した。

「わびさび」だ。

豪華絢爛で豊潤なイメージのルネッサンスとはまったく逆のベクトル、質素で静か。自然信仰の基盤があった日本人の価値観に合致した、といえばわかりやすいが、逆に言えば、それらは日本人にとって常に身近で一般的なものであり、あえて「わびさび」などと価値観念化する必要はなかったともいえる。

こういう説がある。

>戦国時代の後期には、さらに新しい恩賞が出来ました。 「茶器」 です。これは戦国の覇王 「織田信長」 によって広まったもので、信長 は堺の商人 「今井宗久」 に会って 「茶の湯」 を体験して以来、すっかり茶の湯に入れ込むようになりました。
そして、主君がやっている趣味は配下もやりたくなるもので、こうして一気に戦国武将の間に 「茶の湯ブーム」 が巻き起こります。
信長はそれに目をつけたのか、それとも自然にそうなったのか、合戦の恩賞として茶の湯に使う道具 「茶器」 を使うようになりました。
信長は 「名器狩り」 と呼ばれた大規模な名物茶器の収集を行い、非常に高価な茶器のコレクションを配下に自慢して、そして 「もし大きな手柄を立てたら、この中のどれかをやるぞ」 と家臣に言ったりしました。
もちろん配下の方も高級な茶器を集めたいと思っていますから、この申し出に乗ります。
こうして、「茶器」 が 「知行地」 より大きな関心を集めたりしたのです。
信長にとっては、限りのある土地を与えるより、茶器で済んだ方がよっぽど安上がり、というのもあったでしょう。リンク

要するに、躍進する信長は、部下に報奨として与える手駒(土地)に行き詰まり、「茶器」に幻想価値を吹き込んで、その代替とした、というものだ。信長は、信貴山城を包囲させたとき、城主松永久秀に、所有している名器平蜘蛛茶釜を差し出せば助命すると命ずるが、久秀は拒絶。息子2人は処刑され、久秀本人も平蜘蛛を天守閣で叩き割り爆死したという逸話さえ残っている。

命よりも大切な茶椀。。

たかだか茶碗1個の価値を、ここまで高らしめたわびさびとは何なのか?

豪華絢爛はわかりやすい。それに対してわびさびはわかりにくい。良し悪しには相当の「目利き」が要求される。そこに、わかるひとだけがわかる、という閉鎖社会が生まれる。つまり、この「目利き」=最高価値を解するということが、支配者であり、特権階級の証である、という一面はあるだろう。現代社会における、シャネルやヴィトンといったブランド三昧に飽きたひとたちが、全く無名の価値あるものを自らの五感で発掘し、最高価値化する、という風潮にも通じる。

確かに、信長のような新興の武士階級は、富を手に入れることはできた。しかし、千年〜数百年の文化的蓄積がある公家に比べて圧倒的に精神性で劣る。その成り上がりコンプレックスが、「わびさび」というわかったようなわからないような価値観を捏造させたのではないか。

信長の潜在欠乏に目をつけた千利休は、名実ともに高級茶坊主であり、だましのツールと知りつつわびさびを前面に立てた名プロデューサーだったと言える。そして、権威に弱い日本人は、騙されやすい民族ということだろう。
 
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