日本人の起源を探る
223946 倭王=百済王という二面性を持った王の誕生
 
山澤貴志 ( 44 鹿児島 ITコンサル ) 10/01/10 PM10 【印刷用へ
●百済の王統も万世一系ではない

ここで、重要なことは、百済本紀は、百済の王統を万世一系のように謳っているが、実は百済王統は2系統(詳細には3系統)に分裂していたという史実を見落としてはいけないということである。(日本における万世一系捏造の前に、百済における万世一系捏造があったのだ!)

百済王統は本流の「温祚百済」と温祚と分かれて海岸部を南下した温祚の兄にあたる「沸流百済」に分かれる。そして好太王碑文に書かれている「百残」は「温祚百済」系の阿花王の国、「残国」は「沸流百済」の弟王の国、そして倭王は「沸流百済」の兄王という関係にある。永楽5年には「百残」の王(「温祚百済」系の阿花王)は「沸流百済」との盟約に反して「高句麗」に帰順していた。そこで、「沸流百済」の兄王である倭王は、「百残」を討った。そこで、「高句麗」は半島の「残国」にいた「沸流百済」の弟王らを捕虜として、列島の倭王が半島で勝手なことが出来ないようにした・・・このように解釈してはじめて、「好太王碑文」の謎は解けるのである。

● 北方扶余族の男系系譜なら百済王、倭人の女系系譜なら倭王という両面性

では、何故、百済王が倭王を名乗ったのか?というのが最後の謎になるのであるが、当時、倭人は日本列島のみならず、朝鮮半島の海岸部にもおり、海人族として暮らしていた。海岸部に沿って南下した「沸流百済」はこの倭人の有力者の娘たちを后に迎えた。海人族である倭人の家族制度は母系だが、北方扶余族の家族制度は男系である。こうして、北方扶余族の男系系譜を追えば百済王、倭人の女系系譜を追えば倭王という両面性を持った王が誕生したのである。

そして、同じ頃、北九州の倭国も揺れていた。南韓の多羅伽耶からはタラシヒコ(多羅の彦)が北九州筑紫へ進出、国を建てた。実は彼らも扶余から百済を経て多羅をつくり、北九州へとやって来た。そして彼らは百済のことを、旧いタラ=クダラと呼んだ。百済と書いてクダラと読むのはその名残である。ところがこの筑紫の国の実権を武内宿禰(たけのうちのすくね)が握った。こうした北九州での動乱に乗じて、「沸流百済」も北九州へ渡来し、列島の本格的支配に打って出たのであった。

以上が、扶余に起源を持つ百済王が任那を経由して北九州に入り倭王となるまでの歴史の謎解きである。詳細は、是非、本書を当たられたいが、非常に説得力のある仮説である。
 
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