牧畜には貯蓄に基づいた利子生活や、基金による財団経営に通じる部分が多いという話を聞きました。
日頃、牧畜にあまりなじみの無い私たち日本人からすると、牧畜とは「歩く食料貯蔵庫」であり、動物性食料の資源を手元において生かしたまま貯蔵することにあると考えがちですが、それは貯蓄の元金を食いつぶすようなものです。
実際は、病気や怪我で目減りする元金(家畜)を出産による再生産で補いつつ、もっぱら家畜の乳という利子(乳製品)によって生活するというのが牧畜民の姿です。のどかな様子を牧歌的と言いますが彼らの外圧は決して低くはないのでしょう。
消費を増やす為、元金(家畜)を増やそうとしても牧草地の限界以上は頭数を増やすことはできず、再生産される頭数以上を消費すると元金(家畜)が減ってしまう。これを「牧人のジレンマ」と呼ぶそうです。 |
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