暴走する悪徳エリートの所業
206764 「世論が大事」と言うデタラメ@〜官僚の作る政策を「民意だ」と言って国民が作ったようにみせかける
 
猛獣王S ( 30代 東京 営業 ) 09/05/17 PM07 【印刷用へ
『「世論が大事」と言うデタラメ』(田中良紹の「国会探検」)リンクより転載します。
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官僚国家では、国民を支配する方法として、守る事の出来ない法律を作り、違法状態を野放しにし、いつでも「裁量」で摘発する方法があると書いた事がある。官僚にとって好ましくない人物は摘発され、従順な人物は見逃される。すると国民は官僚にすり寄り、言う事を聞くようになる。政治家もその方法でコントロールされる。

それ以外に官僚の作る政策をあたかも国民が作ったようにみせかけ、「民意だ」と言って国民に文句を言わせない方法もある。国や地方自治体に設置される「審議会」などがそれである。「審議会」は大臣などの諮問を受けて民間の専門家が集められ、政策が策定される前に意見を聞かれ、大臣などに答申する機関だが、人選をするのは官僚で、議論のための資料なども官僚が用意するため、官僚が誘導したい方向に結論を導く事が出来る。

しかも官僚は「審議会」の答申に縛られる事なく政策を作成できるから、作られる政策はあくまでも官僚の政策である。しかし意見を聞いた事で、「民意が反映されている」と言う事が出来る。「民意」と言われると民主主義のように聞えるが、官僚の政策に民主主義らしき粉をまぶした程度の話である。

最近、この発想と似た事がメディアの世界で多用されている。新聞やテレビが行なう「世論調査」である。「世論調査」の結果を「国民世論」だと報道する事例が増えているのだが、私には何か民主主義まがいの粉が飛び散っているだけのように見える。

かつて新聞やテレビがこれほど「世論調査」を行なうことはなかった。多額の費用がかかるため余程の時にしか行なわなかった。調査の対象に偏りがあっては正確な世論はつかめない。人と時間をかけて丁寧に行なう必要があった。調査対象に性別、年齢別、地域別、職業別などで偏らない対象を選ばなければならない。だから大変で滅多にやらなかった。

ところが最近は毎週のように「世論調査」が報じられる。そんなに頻繁だと多額の費用はかけられない。かつてとは異なる方法で安価に済ませている事になる。RDDという方法を良く目にするが、コンピューターの乱数計算を基に電話番号を発生させ、電話に出た相手に質問を行なう方法だと言う。それで得られる回答が本当に「世論」と呼べるのか、私には信用する気になれないところがある。

電話をする時間帯が昼間で相手が個人住宅なら、電話に出るのはお年寄りか女性が多くなるはずだ。それなら性別、年齢別、職業別の偏りを無くすための方法を他に講じているのだろうか。それともそれらの要素は切り捨て、とにかく電話に出た相手だけで調査を済ませているのか。そこが気になる。

次に質問の仕方である。相手は答えるのが面倒だと思っているに違いない。いい加減な答えが返ってきたらどうするか。かつてテレビやラジオで数多くのインタビューをやった私の経験から言えば、聞き方次第でこちらの期待する回答を得るのは至極簡単である。そういう聞き方をしていないか。疑問は限りなく浮かんでくる。

しかも質問の相手が新聞の読者だったらどうなるか。新聞記事に影響されているはずである。回答の内容は新聞社の見方と同じになるはずだ。それだと「世論調査」は新聞社の論調を「国民世論」に見せかけるための道具になる。官僚が審議会の委員に対して官僚の考えと同じになる資料を見せ、思惑通りの回答を引き出し、官僚が作成した政策を「民意による」と見せかけるのと同じである。新聞は自らの主張を今度は「国民世論」として再び社会に発信する事が出来る。恐ろしい世論誘導の方法である。恐らくメディアはこの手法を官僚から学んでいる。

民主党代表選挙で新聞とテレビは、「岡田優勢」の「国民世論」と「鳩山優勢」の「民主党世論」を比較して、あたかも民主党が国民世論に背を向けているかのような報道を行なった。しかしその「国民世論」は先ほどの手法で新聞とテレビが作り出した「世論」に過ぎない。新聞とテレビの仕事は世論誘導ではなく、政治力学を読み解き、政局を自分の頭で「考える」ことだ。ところが「考える力」を感じさせる解説には全くお目にかからない。どこかの政治家の受け売りばかりが「政局解説」として流れている。
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続く
 
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