市場原理
204056 農産物はなぜ安いか?
 
雪竹恭一 ( 46 大阪 営業 ) 09/04/10 PM07 【印刷用へ
例えば、ブランド品と農産物の価格格差は、よく言われるような生産コストや需給バランスだけでは説明できない。たとえ同じ原価と労働量であったとしても、農産物に比してブランド品の方が何倍(〜何百倍)もの高値になることは稀ではない。ブランド品も需要に見合うだけの供給量が増えれば、価格は下がるはずだが、現実には農産品ほど価格が下がることはない。

素直に考えるとおかしいが、市場原理にはみんなが必要とする必需品ほど安くなり、みんなが必要としない贅沢品ほど相対的に(異常に)高くなって、価格格差が開いてゆくという基本法則がある。これはなぜであろうか?

その謎を解く鍵が幻想価値である。必需品は幻想化の余地が少ないので低価格になり、贅沢品は幻想化の余地が大きいので高値がつくと考えれば辻褄が合う。

みんなが必要とする必需品の場合は、それを消費する(使う)目的も明確だし、そのモノがどのように役に立つのかも明確である。だから、価格に対する効果も分かりやすく、売るほうからすると消費者を騙せる余地が少ない。従って、実体価値(使用価値)を大きく超える幻想価値は捏造しにくい。(一部にブランド食品等も出回っているが、高級ブランド商品に比べると価格格差は知れている。)

それに対して、ブランド品の場合は、そもそもそれを消費する(使う)目的も不明確だし、そのモノがどのように役に立つのかも不明確である。(はっきり言ってしまえば、生活するうえではほとんど必要のないモノばかりであると言ってもいいだろう。せいぜい、他人の羨望の的になったり、それによって自己顕示欲を充たしたりするぐらいの効能しかない。)主観的な好みが支配する世界であるだけに、価格に対する効果も非常に分かりにくく、売るほうからすると消費者を騙せる余地が大きい。従って、実体価値(使用価値)を大きく超える幻想価値が捏造しやすい。

要するに、市場という駆け引きの世界では、人を騙しやすいものほど高値になり、騙しにくいものほど安値になる。

農産物が安くなるということは、消費者にとっては有難い反面、他の幻想価値のくっついている商品に比べて安くなりすぎると、生産者の生活が成り立たなくなる(担い手もいなくなる)という切実な問題がある。騙しの上手い者が甘い汁を吸い、汗水垂らして働く騙しの下手な者が苦労をするという市場原理はやはりどこかおかしい。価格格差の問題も、必要か否かという観点で捉え直す必要がある。
 
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