市場は環境を守れない、社会を統合できない
203010 米銀の腐った資本主義(3)〜米金融界はドロボー社会〜
 
田中素 HP ( 43 長崎 企画 ) 09/03/27 PM08 【印刷用へ
ダイヤモンド・オンライン「赤字でも億単位のボーナスを支払い続けた米銀の腐った資本主義」(安藤茂彌)リンクより。このようなモラル・ハザードを生み出したアメリカ金融業界の文化的背景について。

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責任負わずに高級貪る金融界は「ドロボー社会」

 巨大銀行がここまで窮地に立たされた原因のひとつは、アメリカの金融界に蔓延る企業文化にある。従業員は勤務する会社の永続性のために犠牲を払うことはない。それより自分がその会社から最大の利得を得ることを考える。会社は自分の人生を成功させるための「踏み台」でしかない。一つの「踏み台」がうまく行かなければ、次の「踏み台」を探しに行く。だから転職した人に後で責任を追及しようにもできない。その結果、責任を負わずに高給を貪るドロボー社会ができてしまった。

 もうひとつの文化的背景には、「アメリカンドリーム」がある。良い大学や大学院を出て、短期間で儲かる職に就くことがアメリカ人の夢なのである。「30歳代か40歳代で一生困らないだけの収入を上げて、あとは悠々自適に暮らす」のが夢である。老後に年金に頼って細々と生きるのではなく、自分の才覚を生かして若いときに金持ちになることがアメリカの成功なのである。投資銀行への就職は夢実現への「踏み台」と見なされてきた。

 筆者はシリコンバレーに住んでいる。周りにはゼロから企業を立ち上げて最終的に上場を果たし大金持ちになった人たちがたくさんいる。グーグル、ヤフー、オラクルと枚挙に暇がない。彼らは自分が創業した会社の企業価値を証券市場で万人に認めさせて「アメリカンドリーム」を実現した。そこには何の「後ろめたさ」もない。

 だが、金融業界のケースは違う。自分が働いていた会社を大赤字にして、国民に税金を注ぎ込ませて、果てはアメリカ政府に国有化させ、自分たちだけが金持ちになった。そこには何のモラルもない。大銀行の国有化を契機に金融業界を「基本」に戻す必要がある。

 「会社が儲かっていなければボーナスは払えない」「貢献する人にしかボーナスを払えない」。当たり前の経営原理である。これができなければアメリカの金融業界は「正常な」資本主義に戻れないだろう。
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(引用以上)
 
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