日本を守るのに、右も左もない
199856 「身分」と「自分」・・・そして「役割」
 
越見源 ( 45 大阪 都市計画 ) 09/02/16 PM00 【印刷用へ
ネットサロンにて「自分」「自我」「個人」の関係について考える中で、「自分」という言葉の意味について気付きがあった。

封建時代=序列統合時代、人々は末代固定の強力な「身分」制度の中に身を置いていた。
「身分」とは、社会の安定秩序を維持するために、本能原理(序列原理)に基づいて社会的に設定されたシステムであり、例え奴隷であっても、ある「身分」に属し、そこでの規範に従い生きることで生存は保障された。

やがて、一握りの王や特権階級のみが富を独占する封建体制から、万人が私権闘争に参加可能な市場時代への転換が始まる。
そこでは、誰もが潜在思念に有するえげつない自我私権意識を美化・正当化し、活力源に転化するために「個人」という観念が捏造された。
・・・“自由”とは個人の自由であり(結果秩序は破壊され)、“平等”とは各個人が私権闘争に参戦する機会の平等であり(結果不平等な社会ができあがり)、“愛”も自己や排他的な一対関係に限定された愛であった。(結果他者への愛は失われた)

やがて、市場化(⇒科学技術の進歩)によって1970年頃貧困が消滅すると、私権闘争の無意味化に伴い、それを美化・正当化した「個人」という観念も必要がなくなり衰退。
しかし、この「個人主義」は、今や「自分」(自分らしさ、自分のやりたいこと、自分を大事に・・・)という自と他を分断し、意識を内面へと向かわせる観念として延命し続けている。

ここで、「自分」とは、かつての「身分」が社会的に与えられた「分」であったのに対し、自らが己の「分」を決めるという意味を持っていることに気づかされる。
自らが己の「分」を決める、誰も助けてはくれない、自由にやって良いが、もし失敗したら自己責任・・・まさに全て「自分」に掛かっている・・・

「自分」という言葉は、まさに「個人主義」によって拠るべき集団も規範も解体され、バラバラな個人となり頼るものが無くなってしまった現在の淋しげな人々の在り様をよく表わしている言葉だと思った。

そして、貧困の消滅以降、序列原理⇒「身分」、市場原理⇒「自分」に代って人々の新たな拠り所となるのは、共認原理に基づく「役割」ということになるだろう。
 
List
  この記事は 972 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_199856
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp