17Cを代表する生物学者として、カール・フォン・リンネは現象事実を観察することによって、自然界の法則を見出そうとした点では、それまでの宗教を中心とした学問と違う思考を辿ったという点で、教科書などでも採り上げられている。
しかし、かれが作った分類学は、分類の基本単位である種のほかに、綱、目、属という上位の分類単位を設け、それらを階層的に位置づけたりしているが、物事を忠実に見てグループ分けしていく視点とそれらを図表等にした成果は非常にすぐれたものだが、なぜそのような階層で分類できるかには踏み込んでいない。
そもそも、それまでの西欧の学問は、キリスト教を中心とする人間がこの世界をどのように作ったかを体系的に整理すること自体が彼の仕事で、何故と問うことの発想がなかったのだ。
その後の近代科学は、キリスト教という宗教色は消されたが、それに代わり人間が自然を自由に捉え思考し自然界をコントロールできるというような、自然を排他的に捉える思想の面だけを色濃く残している。
例えば、現在環境問題と言えば、CO2温暖化説に基づく排出削減技術や省エネルギー技術の普及によって、人間は自然をコントロールできるというような発想にたどりつく背景には、これら西欧を中心とした排他的、自己正統的な思想が中心にあると捉えられる。 |
|