日本人の起源(縄文・弥生・大和)
196250 弥生時代の武器の変遷3 弥生時代後期〜末期
 
yuyu 09/01/01 PM00 【印刷用へ
■弥生時代後期〜末期(紀元後1世紀〜3世紀前半)

弥生後期になると、列島の各地域で武器の金属化が進み、石製武器はしだいに減ってくる。特に金属化の早い北部九州では中期後半から普及し始めていた短剣や短刀の増加により、後期には石製の衝撃武器はほとんど姿を消す。中国・四国や近畿以東でも、石製の衝撃武器である磨製・打製の石剣が残るのはほぼ後期前半までで、後期後半には墳墓の副葬を中心としてではあるが、鉄製の衝撃武器が短兵を主として急増する。

特に多いのは短剣で九州から関東までの広い範囲に分布するが、北部九州や山陰、北陸ではそれに加えて長刀の存在が目立ち、その中には中国から舶載されたと考えられるものも含む素環頭大刀やその加工品が認められる。

確実な鉄製の長兵としては、中期後半から後期初頭にかけて鉄戈が、後期には鉄矛がみられるが、前者は実用不可能な大型祭器の一種とみなされ、後者はきわめてまれである。青銅製の長兵についても、北部九州の銅矛と銅戈はすでに中期広範囲実用性を失って祭器として特化していたが、後期に入るとますます肥大化するいっぽう、分布域を広げる。

その他の地方の青銅製武器についてみると、山陰や中部瀬戸内・東部瀬戸内にそれぞれ分布していた銅剣や近畿の銅戈は後期に入ると衰退する。そしてこれ以降、山陰や瀬戸内では青銅製の祭器事態があまりみられなくなり、近畿や東海では。武器形の青銅器ではなく銅鐸が大型化し、後期後半にかけて最盛を迎える。

投射武器をみると、中期後半以降普及過程に入った鉄鏃は、後期になるとますます増加する。これに対し銅鏃は、むしろ後期に入ってから急速に増加し、鉄鏃および一部にのこる磨製石鏃とともに実践用の投射武器として用いられる。特に鉄鏃の少ない近畿中央部の大和盆地から近江盆地、東海にかけては、それを補う形で相当量の普及が認められる。

まとめると、まず衝撃武器のうち、矛・戈という2種の長兵が完全に祭器として特化して実用武器の主要ラインナップからは脱落することにより、武器様式は、列島の全域を通じて、衝撃武器(短兵)+投射武器という形に再び単純化する。但しこの時期から木製の甲や置き盾の出土例が増加することからみて、本格的な野戦を可能とする戦闘集団の組織化が進んだ可能性もあり、戦術や先頭の方法は、べつの側面ではよりダイナミックなものになったとも推測される。また衝撃武器への鉄の採用は、青銅以上に長く強靭な刃部の制作を可能にし、総じて武器の殺傷能力はさらに進歩したと考えられる。

もう一つ重要な点は、中期広範に顕著にみられた、武器の組成、材質、形態の地域ごとの多様性が薄れ、共通の形態を持った鉄剣と鉄刀および銅鏃と鉄鏃からなる普遍的な武器様式が、九州から関東までの列島の広い範囲に認められるようになることである。
 
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