マネー経済の急拡大をもたらしたレバレッジ(乗数金融)の原理について
米英の証券化金融が極まり転換する経済 リンク より引用
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■4. 米国における金融経済の膨張
GDP(商品生産量)の実質額に対し、米国の「金融的な資産と負債」
の総量(Financial Assets) はどうなってきたか?
【金融機関・企業・世帯がもつFinancial Assetsの時価の急増】
〔年度〕 〔GDP対比〕
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1960年代〜1980年の20年間 ほぼ、400%
1981年〜1990年の10年間 600%に増加
1991年〜2000年の10年間 800%に増加
2001年〜2007年の7年間 1000%に増加
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(米FRB:英エコノミスト誌:080319号)
■6.利益も損も、倍数化する乗数金融
【レバレッジ】
乗数金融とは、レバレッジです。例えば、顧客から預かった元本が
1000億円とします。
(1)これで1000億円の、価格変動がある国債や証券を買う。買った国
債や証券の、担保としての掛け目が90%なら、他の金融機関から900億
円を借りることができる。
(2)この900億円で、また国債や証券を買う。
(3)そしてそれを担保に810億円を借り、また買う。
こうした「レバレッジ」を繰り返せば、合計の運用額は、無限等比級
数の原理で、10倍になります。貸し手になるのは、世界の証券会社や
銀行です。
元本1000億円+810億円+729億円+648億円・・・・
=1000億円÷(1―0.9)=運用総額1兆円
上記の例のように、10%が担保の欠け目(担保掛け目90%)なら、最
初の元本1000億円を使うレバレッジによって、最大1兆円の運用を行う
ことができます。これがヘッジファンドの方法です。
運用の粗収益が7%であり、借入金利が5%なら、利益は〔1兆円×(7
%−5%)=200億円〕になります。
1000億円の元本に対し、20%(200億円)の利益です。この利益は、株、
証券、不動産の上げ相場のとき、もっと大きくなる。
このようにして、金融機関相互のレバレッジが積み重なり、金融機関
・企業・世帯がもつFinancial Assetsの時価は、2007年で、GDPの
10倍(1京3000兆円)にも、膨らんだ。
2000年に比較し、積極的な運用を行う8800本のヘッジファンドの元本
も、50兆円から、その5倍の250兆円余になっています。
レバレッジを加えれば、実際の運用額はこの数倍以上でしょう。
■7. 30倍の、巨額レバレッジがある
●証券会社(=投資銀行)の大手ゴールドマン・サックスは、元本資
金が$400億(4兆円:エクイティ)です。運用資産は、$1.1兆(110
兆円)です。つまり、ロールドマンでのレバレッジの「信用乗数」は、
27.5倍です。(08年6月)
●同業の、投資銀行メリル・リンチは、元本資金は$300億(3兆円:
エクイティ)にすぎない。運用資産は、$1兆(100兆円)で、信用乗
数は33倍ともっと高い。
この信用乗数の、高い水準は、1998年に破産したLTCM(ロングタ
ーム・キャピタルマネジメント)の33倍と同じです。
(1)信用乗数が33倍であると、市場金利の1%の上昇で、その33倍の
33%分の、金利負担が増えます。
(2)証券価格の1%の下落も、元本に対し33%の下げに匹敵します。
この両方が重なり、わずかな金利の上昇や住宅価格の下落が、巨額な、
信用倍率での損になる。
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(引用以上)
ヘッジファンドのジョージソロスが、『超バブルが崩壊する』と言って本を出している。レバレッジを最大限に利用して、世界を荒らしまわった張本人が、今更何をと言いたくなります。
ただソロスも言っているように、レバレッジ金融は損するときも信用倍率での損になる=ヘッジファンドの急激な破綻=マネー経済の急激な縮小が待っているということを示している。 |
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