>'70年以降、あまりにも自分主義の弊害が大きくなってきたので、「他人の自由や権利を最大限に尊重するのが、本当の個人主義だ」という論調に変わってきました(そうでないと人々の共認が得られない)。<(972)
最近の若者を見ると確かに個人主義をゴリゴリ押し出すような人はほとんど見かけません。というより、そもそも個人主義などという言葉をもちだしても、その言葉にぴんと来ない人も多いようです。
よくよく考えてみると、「個人主義=自我の肯定視」とは、言葉を変えると集団の規範より個人を優先しようとしているわけですから、そもそも集団規範にたいするアンチであったわけです。
だから「個人主義」を強く主張していた人々がいた時代とは、まさしく集団規範を崩壊させようとしていた時代ともいえます。
そしてそれまでの集団規範(=無秩序な私権闘争を押さえる規範)が解体され、誰でも彼でも私権闘争に参加し、ついには'70年代以降、豊かさ実現とともに集団規範は全く意味を成さなくなってしまうと、反対=“自己主張”する必要がなくなってしまった。だからことさら「個人主義」と言う言葉さえ実感を伴わない状況になったと言えます。
したがって現代の若者が自己主張しなくなったのは、集団圧力によって自己主張を押し込められたというよりは、むしろ自己主張すべきアンチ対象=規範がそもそもなくなっているから、と考えたほうがいいのではないでしょうか。
そうすれば、一方で(若者に限りませんが)自己中が増えてきていることも集団圧力が働いていないからということで、一致すると思います。 |
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