議論の軸とは外れますが、資料として見てください。
■ネズミキツネザル(マダガスカル)
単独生活/縄張り侵入者は雌雄問わず撃退/おそらく縄張り範囲に限定された中で発情期のみの複数と交尾/
■ポト(西・中央アフリカ)
単独生活/縄張り侵入者は同性は撃退するが異性は受容/オス縄張りは複数のメス縄張りを包含(雄の縄張りサイズは雌の密度に規定)/雄は自縄張り内のメスに他の雄が近づくのを撃退(一夫多妻型)/
■ショウガラゴ(アフリカ一帯)
単独生活/縄張り様式はポト同様。/雌同士も血縁(母娘、姉妹)は撃退せず許容、昼は同じ木を寝場所にすることもある/若雄は当初縄張りを持たず放浪、老齢オスとの交代などにより縄張り(+メス)獲得/
■ボルネオメガネザル(インドネシア)
単独生活/雌雄の縄張り領域が一致(異性は受容)/但し交尾以外は接触は殆んど見られない/
■ヴェローシファカ(マダガスカル)
5〜6頭の群れ(ほぼ母系)/個体間序列あり/雌優位/1〜3月の発情期、若雄は頻繁に他群を訪問、雌は1〜複数頭の雄と交尾。群外の雄と交尾することもある。/他群とは緊張関係にあるが匂い付け、威嚇に留まる。
■ワオキツネザル(マダガスカル)
数〜20数頭の群れ(母系血縁集団)/同性間の序列あり、最優位の雄は雌たちの近くにいることが多い/異性間の序列もあり雌が優位/4〜5月に数〜10数時間だけ雌が発情、雄同志はこのときは激しく闘争(普段はけづくろいなども見られる)/群れ同志は排他的関係
(「サルの百科」データハウス、「ホミニゼーション」京大学術出版会より)
手元の本の写真と見比べてみると、原猿はネズミキツネザルのように個々の縄張りを持った単独生活から、縄張り包含による単独オス+複数メスの親和関係⇒血縁メス同士の許容・親和関係⇒母系集団(群れ)へと進化していったことが窺えます。最後の2例のような群れ生活は原猿類では稀で、進化史的にもかなり後期のものと思われます。また雌優位という形態もマダガスカルの数種にだけ見られる特殊例のようです。 |
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