素人による創造
176877 若者はいつでも時代を鋭敏に感受する
 
大木康子 ( 団塊の世代 山口 主婦 ) 08/05/19 PM08 【印刷用へ
>そして’70年、貧困が消滅して私権が衰弱し始めるや否や、欺瞞観念(恋愛、自由、個人、民主)は一気に輝きを失い、私権の衰弱が誰の目にも明らかになった’90年以降、もはや「一流」作家の言葉さえ、虚しいだけである。ましてや、会議室での素人の(観念思考の産物たる)言葉など、見向きもされないのは当然である。(7245)

 を読んで、’60年代の学生運動が最も激しかった大学時代を過ごした我々の世代と、その後、’70年代以降の若者の大きな意識の変化に改めて考えさせられました。

 ’60年代では、学生が片手に「朝日ジャーナル」を持っていることがある意味「知性の象徴」でした。また作家では、大江健三郎や安部公房、柴田翔が人気。中でも1964年に芥川賞を受賞した柴田翔の「されど我らが日々」は、60年安保の頃の時代に生きる学生を主人公にしており、当時のベストセラーで若者にとってはバイブルでもありました。思想ではサルトルの実存主義が席巻。当時は、学生にとっては政治活動に直接のめりこんでいくものと、そこから一線を画すもの(ノンポリ)とがあり、自身の存在を明確にする「主義・主張」が必要とされました。キャンパスや喫茶店で議論を闘わす光景も日常的で、そのためには「言葉」は何よりも重要な武器でした。

 ’70年代に貧困が消滅し、私権が衰弱し始めると時を同じくして、学生が臆することなく「少年マガジン」などの漫画を持ち歩き、作家では、村上龍が 武蔵野美術大学 在学中の 1976年 、麻薬とセックスに溺れる若者たちを描いた『 限りなく透明に近いブルー 』で 芥川賞 を受賞したことは衝撃的でした。いつの時代も若者は時代を鋭敏に感受する存在です。それまでの思想や「主義・主張」は空虚なものになっていきました。当時のセンセーショナルなCMに「モーレツからビューティフルへ」というのがあったことをふと思い出します。このCMは、まさに私権の崩壊を予知するものであり、それまでの観念から感覚へ、世代の共通課題から個々人の充足へと大きく時代が転換していきました。

 このように我々旧世代が過去を振り返ると、どこかに懐古の気持ちがあることは否めません。しかし、旧観念に洗脳された我々には、それがいかに欺瞞観念なのかに気づき、私権の衰弱した今では全く無用であることを認識することが急務です。そうして始めて、時代を反映した新概念が吸収できるのだと思います。
 
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176901 80年代大学生と現在の若者の類似点と相違点 佐藤英幸 08/05/19 PM11

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