男の子は発達がおそい。
小さい子供をもつ親や、幼児をよく知る保育士や幼稚園の先生が、半ば当然のように(あるいは男の子を持つ親をなぐさめるために)口にする言葉です。ここでいう「発達」とは主に「言葉」「言語能力」。
子の成長過程につきあってきた者として、女の子は小さいこときから口が達者、言語能力の獲得も早い、対して男の子は言葉が遅く、自分の意思を十分に伝えられないもどかしさもあってすぐに手を出す(悪さをする)という行動パターンが多いように思います。
ところで、妊娠2ヶ月までは胎児の体も脳も男女差はないと言われています。人の体も脳も初期設定は女性。Y染色体を持った男の子は男性ホルモン(テストステロン)のシャワーを妊娠期間中に浴びることにより、女の生殖器の代わりに男の生殖器が作られるようになり、同時に胎児の脳が男性型に傾き始めます。
とはいっても、「男脳」「女脳」と真っ二つに分かれるのはでなく、胎児期に男性ホルモンシャワーを多く浴びるほど男性的な脳になるといわれています。いわばひとりの人間の中に「男脳」「女脳」が同居しているのですが、男性ホルモンのシャワー量によってより男脳に傾くか女脳に傾くかという違いがでてきます。
この男性ホルモンは左脳の発達を抑える影響があり、左脳というのは言葉や計算の能力を担当している。つまり、男の子の言葉が遅いという現象は、左脳の発達の遅れの現れということになります。
では、左脳の発達を抑えられた男の子はそのまま不遇をかこつのか?「遅れ」があると違う部分を発達させるのが脳のすごいところです。男の子は左脳の発達が抑制されたおかげで、右脳を発達させるチャンスを獲得します。右脳は、空間認識能力とか図形処理能力を担当している。一般的に男性の方が「地図が読める」「幾何学が得意」「将棋が強い」等の傾向があるのはこの理由によります。
(つづく) |
|