>マクロファージって、オールマイティに思えるのに、何で『NK細胞』の出現が必要だったのだろうか?(173769)
確かに、なんでだろう?…と思って考えてみました。
マクロファージは、体の中のお掃除をしてくれる。侵入してきた異物だけでなく、死んだ体細胞も食べて処理してくれている。
翻って、NK細胞は、体内のがん細胞に気付いて、アポトーシスさせる役割がある。
マクロファージにとっては、がん細胞は異物ではないのだろうか?がん細胞を認識する役割をNK細胞が担うのはどうしてだろう?
まず、がん細胞は「幼若化(=脱分化)」するという性質がある。
細胞は、通常、未分化細胞ほど細胞周期が短くて、盛んに分裂増殖を繰り返す。普通の細胞は、分化の方向は一方向で、分化の方向に逆行するような「細胞の幼若化(=脱分化)」は、損傷した組織の再生などの場合を除き、発生しない。ところが、がん細胞は「幼若化」し、盛んに分裂増殖を繰り返してしまうのである。
また、がん細胞の9割近くでテロメラーゼの再活性化が報告されている。
テロメラーゼが再活性化すると、テロメアを合成し続けるために、アポトーシスすることなく、若返ってそのまま無制限に増殖するようだ。
マクロファージにしてみれば、がん細胞とは、生きた細胞(単に若いままの細胞)であって、「異物」と認識できないのではないだろうか。
NK細胞は、パーフォリンという物質を放出して異常細胞(がん細胞)の細胞膜に穴を開けてアポトーシスを促す。死ねなくなった細胞を適切に処分してくれる役割がある。(そしてその後はマクロファージがお片付けする。)
マクロファージが攻撃できない生きた細胞(がん化=幼若化した体細胞)を見つけ出し、手遅れになる前にアポトーシスさせるためにNK細胞の役割が必要になったのではないだろうか。 |
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