【ベアー・スターンズへの異例の支援 米政府に公的資金活用論- MSN産経ニュース リンク 】
ベア・スターンズ(BSC)は機関投資家向けの資産管理や証券投資コンサルティングを行う会社で、特にヘッジファンド向けの決済サービスに強く、アメリカ5大証券の一つとして知られてきた。また、企業買収の世界でも名を馳せ、強欲で倫理観の欠如した現在の投資銀行のイメージを作り出した銀行として知られる。
今回、BSCは公的資金の注入を受けたJPモルガンの迂回融資によって瀕死の所を救われた。特にサブプライム関連のMBSを中心にした債権取引部門の売り上げが全体の半分以上を占めており、激震が直撃した形だ。CDOを大量に引き受けているBSCが破綻したら、本当にアメリカ証券市場が崩壊するのは間違いなかった、と言うところだろう。
BSCの窓口に顧客が殺到する映像は見ることはできなかったが、オンラインを通じた取り付け騒ぎがあったことをCEOのシュワルツ氏が「資金流出があった」と認めている。窓口の客は適当にあしらうことができても、瞬時に押されるPCの決済ボタンにあらがうことはできないのである。
【BSCの株価グラフ 美しく切り立った垂直の壁 リンク 】
3月の第2週の週末を挟んでBSCの株価は2ドルまで落ちたが、山一の一時救済と同じ仕組みの「連銀特融」を発動して急場をしのいだ。(山一の場合は富士銀を通じた迂回融資)
【米ベアー・スターンズ救済=NY連銀、異例の資金供給−JPモルガンが仲介 リンク】
そしてこのとき、BSCの会長Cayne氏は何をしていたのか、というWall Street Jurnal紙のコラムが話題になっている。
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【ベア・スターンズ会長「マリファナとブリッジの日々」に批判 | WIRED VISION リンク 】
マリファナを吸ったりトランプのブリッジ・ゲームに興じたりというライフスタイルを満喫していた米証券大手Bear Stearns社会長、James Cayne氏について、米国の納税者たちが尻拭いをしている
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アメリカ国民の税金が注入されたBSCへの緊急支援によって、紙くずになるはずだった株式は10.84ドルに反発した。そしてCayne氏はその全て売却、61億円の現金を手にしていたことが明らかになったという。そして上に挙げたように、BSC株が真っ逆さまに転落した週末は、携帯も持たずに10日間のゴルフ休暇を取り、さらにはナッシュビルのブリッジ大会(今年に入ってから少なくとも3回目)に出場していたというのである。しかも、あろうことかブリッジ大会が終わってからマリファナを吸っていたところを目撃されている。
【Bear CEO's Handling Of Crisis Raises Issues - WSJ.com リンク 】
>それどころか、最初に交換関係が登場した動機は、額に汗して
>働くよりも、(相手に>この品物が大きな可能性を与えてくれ
>ると信じ込ませることさえ出来れば)交換によって得る益の方
>が、ずっと大きいからである。
【30709 超国家・超市場論9 私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である 】
BSC会長に比べれば、宮廷に取り入って宝石や絹を売りつける中世商人達の方がよっぽど誠実なように見える。証券取引はもはや騙しの手口の極北とも言えるが、そのトップ本人が、最も悪質な詐欺師そのものであり、実在する吸血鬼なのである。 |
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