>自我・私権やそれを正当化した規範観念や価値観念は肉体的に(=自我回路や共認回路で)感応するのに、危機・課題は観念によってしか(超肉体的=超感応回路的にしか)認識できない。この感応回路と観念回路の認識位相の違いが、パラダイム転換を超困難にしている直接の理由である。(18571)
本能回路は、欠乏対象や危機対象を認識(発見)すると、即座に反応し行動に出る。これは、固定的だが本能回路の対象別に、ごく短時間に±判断をして行動に移せる(=行動スピードのアップ)ことにより適応可能性を高めているからだ。これも判断過程といえるが、人類のそれに比べれば、YESかNOかの自動的判断行動に近い。
次に、自我回路や共認回路に規範観念や価値観念が入ってきた場合は、感応する(心に響く)。これは、本能⇒共認回路の先端の観念回路で、価値観念や規範観念を捉えた場合、その価値観念等に合った内容は+、反対の内容は−と認識され、行動を価値観念等が逆規定していく構造だ。ここでは、外圧や状況認識と無関係に、価値観念等により行動が決まっていく。だから、外圧変化の大きい時代では、適応できなくなる。
ところで、人類にとって規範は、本能の代替物で、外圧や状況認識に適応的な内容であれば、いちいち熟考して時間を使うことなく、即座に行動に移せる判断基準という優れた側面を持っている。そのときの判断は、即時的で本能に近くすばやい。しかし、時代の変わり目(=外圧変化の時期)では、過去の規範は役に立たなくなる。
そうすると、現代のような時代変化の中では、古い規範に変わる新しい規範を創ることが必要になる。そのためには、正確な状況(危機)認識と、それに対する答えを出すことが大前提になる。それは、出来合いの観念や規範を使い、即時的(≒本能的)に判断するのではなく、本能⇒共認回路で感じた事実から、新しい構造観念を創りだしていくという思考過程になる。
この思考の位相には即時性は無く、多くの事実群から、もっとも充足可能性のある答えを探すという、価値判断を一旦保留にして思考するというプロセスをとる。これが、感応回路と観念回路の認識位相の差であり、即時的な判断を超えて、超感応回路的に認識するという本来の観念の使い方である。このような思考過程を経て出来上がったのが新理論である。 |
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