’70年貧困の消滅と私権の衰弱
17160 市場の闇:マネー
 
雪竹恭一 ( 38 大阪府 営業 ) 01/11/27 AM00 【印刷用へ
市場の闇という点では、なんと言っても、マネーの持っている闇の部分を考えてみる必要があります。マネーのもっている闇の問題とは、マネーが闇をつくりだしてしまうという問題だと思います。今まで、裏金問題や天下り問題、株式市場の問題等を考えてきましたが、それらが闇の世界で成立し得るのも、マネーの持っている「私的に貯蔵(秘蔵)が可能である」という性質によるのではないかと考えます。

マネーのもつ性質のうち、誰もが受け取ることができるという一般的受領性というのがありますが、それを保証するために、マネー自体には、匿名で、誰から誰に渡されたものかはわからない(どうでもいい)ということが求められます。そして、このような、マネーの匿名性→一般的受領性によって、単なる紙切れ(現代ではコンピューター上の数字)に過ぎないものが、交換手段や貯蔵手段として機能できるようになりました。このことによって、時間と空間を越えて、飛躍的に流通機能が高まり、あるいは、大規模な資本蓄積を図るということが可能になり、市場経済の拡大がもたらされましたが、その反面、マネーさへあれば、何でも手に入るという安直な生活観念が浸透し、誰にも知られずに、こっそり富を私蔵するということも容易になりました。土地や家屋などの財産は、そうそう隠しとおせるものではありませんが、マネーという形なら簡単です。また、昔の金銀と比べても、現代の紙切れや電子マネーは、はるかに秘匿し私蔵することが容易です。

NHKで、地域通貨を特集した番組がありましたが、その中で、ドイツのエンデという経済学者の、「マネーには資本蓄積とか生活物資の交換とかの機能があるが、貨幣経済の浸透に伴って、もともとの物物交換の市場がもっていたような、地域コミュニティの中での生活物資の交換という機能が失われてしまった。」というような問題意識が紹介されていました。その思想に触発されてか、既に、世界中で約3000もの地域通貨が試行されているそうです。

地域通貨の中でも面白いものは、何と言ってもマネーに名前がついているものです。マネーを渡す人が、どんなサービスにいくら払ったかを名前入りで記入するのです。つまり、モノやサービスを交換するにあたって、お互いに顔を合わせてコミュニケーションを図るということをマネーが媒介するわけです。おそらく、地域通貨がもたらす効果の中でも、それまで市場社会の外に置かれていたボランティアとかNPOなどの活動を、価値ある活動として、正当に評価しあい、市場社会が失ってしまった地域のコミュニケーションを豊かにしてゆくという効果が、最も期待されるところであろうと思います。

地域通貨の取り組みは、まだまだ試行錯誤の段階だとは思いますが、マネーの持っている闇という問題に光をあてる取り組みとして期待できると思います。
 
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17253 RE:市場の闇:マネー 鈴木龍也 01/11/28 AM00

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