共認運動をどう実現してゆくか?
171253 変異(安定)進化論史A 真核n体〜真核2n体
 
西谷文宏 ( 31 和歌山 建築設計 ) 08/02/21 AM09 【印刷用へ
V.「真核n体」 20億年前〜
  安定機構の進化:有糸分裂の獲得・細胞核の獲得
  
 原核生物は、細胞膜から分離した小胞を利用した細胞内情報伝達・エネルギー伝達の高度化→細胞の巨大化→好気性細菌(ミトコンドリア)の取り込み=エネルギー源の取り込みと言うプロセスを得て、真核生物へと進化していく。
 生命を進化史と言う観点でみると、この原核→真核の進化過程は20億年近い年月がかかっており、最も進化の時間を必要としている。これは、「情報伝達の高度化」と「エネルギー源の取り込み」と言う進化が、如何に困難で重要であったかを示している。

 原核生物と真核生物の違いは数多く存在するが、最も特徴的に違っているのが、遺伝情報の保存方法と分裂の仕方である。
 原核生物の遺伝情報(DNA)は、細胞内にルーズに分散しており、分裂も”アバウト”。その様式を、解りやすく例えるなら、”アンコ入りのまんじゅうを大体2つに割る”分裂。中に入っているアンコは、偏っているかもしれないので、正確に2分することは極めて難しい。遺伝情報が複雑でない、原核生物であれば、このような”アバウト”な分裂でも、損傷した遺伝子を修復酵素で復元すれば問題なかった。

 しかし、情報伝達機構が高度化し、更にミトコンドリアと言う別の生物を体内に取り入れた真核生物では、遺伝情報が極めて複雑化する為、原核生物のようなルーズな遺伝情報保存と、アバウトな分裂では、上手く行かなく(修復しきれなく)なる。
 この為、真核生物は「核膜」と呼ばれる膜を手に入れ、この中に遺伝情報を折りたたんで正確に整理するようになる。また分裂も「有糸分裂」と言う分裂機構を手に入れることで、遺伝情報を正確に2分する分裂が可能になった。(※有糸分裂=両極に存在する紡錘体から紡錘糸という糸状の構造体を伸ばして、染色体を両極に引き寄せ、正確に2分する分裂方法)

 言うなれば、「エネルギー源の取り込み」という変異可能性への収束と、「有糸分裂」と「細胞核」と言う2つの「安定機構」によって、真核生物が誕生し得たと言える。

W.「真核2n体」 15億年前〜
  変異機構の進化:減数分裂・接合による組み換え変異メカニズム
  安定機構の進化:2倍体の成立

 真核生物は、原核生物に比べると、「細胞核」と言う安定機構を備えている為、外的要因に強く、安定的な生物と言える。しかし、その分、外的要因による遺伝情報変異(突然変異)が起こりにくく、変異可能性が低くなると言う欠点も孕んでいる。一方でこの頃の地球は大激動期に当たり、激変する環境に適応するには、変異を重ねていく必要があった。

 そこで真核生物は、「突然変異」と言う不確実な変異システムに変わる、「組み換え変異メカニズム」を作り出していく。それが、「減数分裂・接合による組み換え変異」である。

 現存する真核n体単細胞生物、クラミドモナスは、栄養素がなくなると同類同士で接合し、硬い殻を作って休眠状態となる。この殻の中で、合体したクラミドモナスaとbは、お互いのDNAをシャッフルし、外部状況が変化すると、再び分裂し、2体のクラミドモナスcとdになる。この2体のクラミドモナスcとdは、合体前のクラミドモナスaとbのDNAがシャッフルされたもので、aともbとも違っている。こうして、遺伝子をシャッフルして、合体前とは”微妙に違う”固体を生み出すことで、新しい環境へと適応していく。  
 このように、DNAの組み替え・交叉を行った上で分裂し、元の遺伝情報と「少し違う」遺伝情報を生み出す分裂を「減数分裂」と言う。
  
 Uの項目で展開したように、これまでの、生物の変異システムは「突然変異」がその中心だったが、「突然変異」は極めて不確実かつ、その変異体の殆どは不適応体となる。
 それに対して、この「接合→減数分裂」による遺伝子交換は、その変異度は小さいものの、確実かつ安定的に変異体を生み出すことが可能になる。
 こうして生物は、変異度の高い「突然変異」に加えて、より安定的で確実な「減数分裂」と言う変異機構を手に入れた。
 なお「接合→減数分裂」こそ、遺伝子を混ぜ合わせる「性」の始まりと言え、「減数分裂」こそ「有性生殖」のスタートと言える。

 クラミドモナスは、遺伝子を1セットしか持っていないn体(これを半数体と呼びます)で、合体することにより遺伝子が2セットある2n体(倍数体と呼ぶ)となり、減数分裂してn体へと戻る。このステップでの倍数体(2n体)は減数分裂する為の一時生産品で、組み換え半数体nが最終成果品だが、後に単細胞から多細胞生物へと進化していく過程において、倍数体2nが真核生物の中心(2nが最終成果品)となっていく。
 この理由は半数体nよりも倍数体2nの方が(遺伝子が2セットあることによって)以下の3つの外圧適応可能性=外圧に対する安定機構を持っているからである。

 @ウィルス侵入や紫外線損傷等からの修復製が高い
 A2倍のミトコンドリアを持ち、代謝機能が高い
 B2倍のDNA(→RNA)で多様なたんぱく質合成の可能性が高い

 真核単細胞生物は、逆境的外圧→合体・接合のプロセスの中で、「減数分裂と言う変異機構」と「2倍体(2n体)と言う安定機構」の両方を獲得したと言える。この変異と安定の両立によって、生物史は劇的な進化を遂げていく。
 
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