私たちが「気持ち良い」と感じる時に、脳で分泌される神経伝達物質には他にも幾つかあります。斎藤さんが出されていたβエンドルフィンは鎮痛剤に似た成分で、「安堵」や「恍惚」の快感をもたらします。一般に「ランニング・ハイ」と呼ばれる状態を思い浮かべれば解り易いでしょうか。毒性はドーパミンよりは小さいらしいです。
もう一つ、セロトニンという抑制系の物質があり、これは「幸福感」や「満足感」といった感覚を呼ぶようです。ただこれも、度が過ぎるとセックスレスなどの原因にもなってしまうらしいです。また、ドーパミンと同じように物事に強く集中した時に分泌されるもの(但し快感はない)に、ノルアドレナリンという物質があります。
宮川さんの出された様々な例は、これらの神経伝達物質のどれか(あるいは別の物質)の組み合わせでいずれ説明されると思われますが、その中で、サルが頭を使っているときに、快感を伴うドーパミンが分泌されていることが、一応実験で確かめられた訳です。問題は、何故なのか?です。
セックスが快感を伴うのは確実に子孫を残すためだと言われています。私は、これと同じようなことが「考える」こととドーパミン(或いはその他の脳内快感物質)の間にもあるのではないかと思います。
身に付いた本能に従っていれば、上記のような意味で「考える」必要はありません。つまり、生き延びるために、強烈な快感を付与してでも頭の中を組替えなければならない状況が当時の猿を取り巻いていたからだ、というのが今のところの私の仮説です。
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