実現論を塗り重ねてゆく
170749 化石燃料が枯渇するので原子力、は本当か?
 
岡本誠 ( 54 兵庫 経営管理 ) 08/02/12 PM08 【印刷用へ
『原子力を巡る基礎知識』京大原子炉実験所小出裕章氏より。リンク

**************(以下、抜粋)**************
化石燃料は地下に眠る資源で使えばいずれなくなってくる(これらを「再生不能資源」という)。しかし、原子力の燃料であるウランも再生不能資源であり、他の化石燃料より早く枯渇する。

再生不能資源のうち最も多いのは「高品位炭」、つまり石炭で、次に多いのは「低品位炭」、石炭です。仮に究極埋蔵量の全てを利用できるとすれば、石炭だけで現在の人類の使用量の1000年分ある。次に多い資源に「オイルシェール」や「タールサンド」という、現在では使いにくいため利用されていない資源がある。さらに「石油」、「天然ガス」もある。天然ガスだけでも人類の1000年分の消費量をまかなえるという推定もあるほど。

ではウラン資源は?ウランは石油と比べても数分の1、石炭に比べれば100分の1しかないという大変貧弱な資源なのである。

リンク
人類が初めて原子核エネルギーを手にしたのは1945年。米国は最初自国の砂漠で人類初の原爆トリニティーを炸裂させ、残り2発を広島(リトルボーイ)と長崎(ファットマン)で実践使用した。リトルボーイはウランを材料にし、トリニティーとファットマンはプルトニウムを材料に作られた。

ウランといっても、その中には燃える(核分裂する)ウランと燃えない(核分裂しない)ウランがあり、このうち燃えるウラン(U-235)は天然にはわずか0.7%しか存在しない。残り99.3%は燃えないウラン(U-238)。しかし、原爆のように一気にウランの核分裂反応を進行させようとすると、燃えるウランの濃度を93%以上という高濃度に高めなければならない。そのために必要な作業を「濃縮」と呼び、厖大エネルギーを必要とする。
リトルボーイの爆発力はTNT火薬に換算して1万5000トン分だったが、「濃縮」作業で使ったエネルギーはTNT火薬5万トン分という馬鹿げたものだった。

そこで登場したのがプルトニウム。この元素は天然には存在しておらず、人間が現代の錬金術によって初めて作り出した元素。
原子炉の中に燃えないウランを入れておくと、自動的に中性子を吸収して燃えるプルトニウム(Pu-239)に変わる。ウラン濃縮が大変なエネルギー浪費作業であるのに対し、便利で効率的なので、トリニティー以来の原爆はほとんどがプルトニウムを材料している。

ところがこのプルトニウムはとてつもなく難しい問題がつきまとっていた。半減期2万4000年でα線を出しながら崩壊するこの放射性核種は、生命体に対する危険度が著しく高く、わずか100万分の1gを吸入しただけで肺ガン死してしまうというほどの超猛毒物質だった。

原子力の燃料であるウラン資源が貧弱なことを知った人々は、それならとプルトニウムを燃料にしようと考えたが、燃えないウランから効率的にプルトニウムに変換するには高速増殖炉の実用化が必要と、なお乗り越えなければならない難題があり、ほとんどの国の取り組みが失敗してしまった。

こうしてエネルギー資源として原子力を意味のあるものにするプルトニウムの利用すらが幻となり、結局「原子力」は20世紀半ばに原爆として花開いた徒花で終わることになった。
**************(以上)**************

ウラン資源の貧弱さ以外にも、厖大な放射能の蓄積による事故の恐れや廃棄物の処分法すら見えないなどの問題から、原子力が未来のエネルギー源であるかのような幻想は消え、‘70年代から撤退されてきたが、再び気球温暖化問題から復活しようとしている。

改めて冷静に原子力の問題を知り、そして、過剰消費が全ての問題の元凶であることに思い至る必要があると思う。
 
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