生物学を切開する
164483 遺伝子は大きな設計図。どのように発現するかに意味がある。
 
北川和秀 ( 42 広島 農業 ) 07/10/31 PM10 【印刷用へ
雑誌「ニュートン」の2007年12月号記事から引用します。

遺伝子レベルでの進化が、生物の目に見える形態の進化にどう結びつくかは、いまだ多くの部分が謎である。
京都大学在学中にこの課題に取り組んだ宮田隆JT生物誌研究館顧問は、5億4000万年目前ごろに多様な形態の生物種(多細胞動物)が爆発的にふえた、いわゆる「カンブリア爆発」に注目した。カンブリア爆発は、全生命史においても群を抜いて多様な生物が誕生した時期として知られる。宮田顧問は、カンブリア爆発と同時に、新たな遺伝子の爆発的な増加も起きたのではないか、と考えたのだ。
宮田顧問は、さまざまな遺伝子の塩基配列を多くの生物種で比較し、化石からのデータも利用して、それらの遺伝子がいつ誕生したかを探った。すると予想に反した結果が出た。カンブリアの多細胞生物達が持っていたと考えられる遺伝子は、カンブリア爆発よりもかなり以前に爆発的に増えていたのだ。遺伝子の爆発的な誕生は、遺伝子重複やゲノム重複によってもたらされたようだ。
 宮田顧問によると、ヒトに至る系統で、遺伝子の爆発的な誕生は少なくとも3回あったという。まず、真核生物(細胞に核がある生物)のごく初期の段階で、真核生物だけが持つような遺伝子が爆発的に誕生した。次に10億年前〜9億年前ごろに、多細胞生物だけがもつような遺伝子が爆発的に誕生した。そして無顎類(魚類の先祖に近い形態をもつアゴの無い生物)から魚類の先祖が分岐した5億年前ごろに、脊椎動物の特定組織だけではたらくような遺伝子が爆発的に誕生した。この後、脊椎動物は多様な組織と器官を発達させた、と考えられるという。
カンブリア爆発の時期と、多細胞生物だけがもつ遺伝子の爆発的誕生の時期が一致しないことについて、宮田顧問は次のように語る。「カンブリア爆発では、たくさんの遺伝子が新たにつくられたのではなく、すでに存在していた遺伝子の利用のしかたをかえることで、形態の多様化を実現したのでしょう。」
(引用終わり)

遺伝子は、はるか昔から変化の準備をしていて、その働き・発現を変えることによって、外圧に適応してきたと考えるのがすっきりします。
遺伝子は、その発現においても、さまざまなたんぱく質の複合作用で機能しており、遺伝子がどの程度同じかよりも、どう発現したかのほうが意味が大きいのだと思います。
 
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