爬虫類は熱帯から寒冷帯、沼地から砂漠にわたる様々な環境に生息し、陸上脊椎動物の中で最も繁栄してきた動物群であり、その多くが温度に依存した性決定を行うということは、メカニズムとして非常に興味を惹くところです。
性染色体による性決定が当然だと思っていたので、「温度によって性が決定するなんて、なんていいかげんなんだろう」と考え勝ちですが、これだけ繁栄してきたということは、優れたメカニズムなのかも知れません。
性決定は孵卵期間の中期にエストロゲンを浴びると雌に、アンドロゲンを浴びると雄になるのですが、両者は同じステロイドという科学物質であり、酵素によってアンドロゲンからエストロゲンに変化します。
その酵素がどの温度の時に活性化するかによって性が決定されることになるのですが、孵卵期間の温度は季節だけではなく、産卵した場所が日陰なのか日向なのか、地表に近いのか地中深くなのか等によっても高低があるため、同時期に産卵された卵であっても雄雌両方が生まれることになります。
温度と性決定の関係には種によってかなりの多様性があることを考えると、様々な酵素があると推測されます。その種が生息している環境に一番適した酵素が使われることによって、うまく雄雌を作り出して繁栄してきたのが爬虫類なのです。
つまり、温度依存による性決定が、メカニズムとしての基本形であり環境適応力もあるということです。
むしろ、胎内で孵化させるようになった哺乳類が恒温動物であるがために、温度依存メカニズムが使えなくなり、遺伝子による性決定システムに変更せざるを得なかったという方が実態のようです。 |
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