> FRBは、米国政府・財務省が発行する債券(国債)を購入する。そして、その債券と同額の金額を連邦準備銀行が財務省に印刷させたドルで支払うのである。これによって、「無」から利息付きの負債が発生して、FRBはその利息を手にするのである。(133622の引用)
FRBのドルに対し、日銀券の発行の仕組みはどうなっているのか。
日銀券は、財務省が毎年度発表する「日本銀行券製造計画」に基づき(実際の策定は日銀発券局)、日銀が国立印刷局に印刷を委託、日銀口座に一旦納付され、市中銀行への供給をもって発行となる。財務省によれば、通貨の製造計画は「必要とされる日本銀行券及び貨幣の円滑な供給を図る観点から、市中の流通状況や独立行政法人国立印刷局・独立行政法人造幣局の製造能力等を勘案の上、日本銀行券については製造枚数、貨幣については発行・製造枚数を定めています。」とある。リンク
例えば、平成19年度の日本銀行券製造計画は、合計で33億枚、15兆4700億円で、金額の約8割が一万円札だ(貨幣は12.6億枚、2400億円)。
リンク(H19年度日銀券製造計画) リンク(H19年度貨幣製造計画)
一方、国内での日銀券の総流通高は、平成18年度末段階で80.4兆円となっている。リンク(財務省「独立行政法人国立印刷局の概要」)
上記資料中にある昭和60年以降の通貨流通高の推移グラフをみると、昭和60年度の通貨流通高は約20兆円強、平成7年度で約40兆円となっている。この20年間、市中に出回る日銀券は、10年で約2倍のペースで増加してきたことになる。日銀によると一万円札の寿命は平均3〜4年というから、ここ10年に毎年15兆円ほど印刷された日銀券のうち、約10兆円前後が紙幣の寿命に対する補充、4〜5兆円が増刷という計算になる。
このように、日銀券の発行はFRBと違って政府国債の発行とは連動していない。だから国債の利子を中央銀行が直接手に入れる構造にもなっていない。また、紙幣発行が日銀の財務上は債務として計上される点も、連銀の債権証書であるドルとは性格が異なっている。
しかし、この20年、バブル期、不況期を問わず、日本国債の増加と符号するように通貨流通高は増加している。そして、日本では国債を直接引き受けるのは民間銀行だが、公開市場操作(資金供給オペ)を通じて日銀の国債保有が増しており、現在では全資産の7割弱を占める。
リンク(日銀のバランスシート)
つまり、日銀の資金供給オペ⇒国債買入れと連動して紙幣の増刷・発行も行われている可能性が高い。これが、155312で「日銀が連邦準備銀行に近づいている」と言われる理由だろう。 |
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