市場の支配構造
159480 日本銀行の通貨発行の仕組み
 
田中素 HP ( 41 長崎 企画 ) 07/08/22 PM07 【印刷用へ
> FRBは、米国政府・財務省が発行する債券(国債)を購入する。そして、その債券と同額の金額を連邦準備銀行が財務省に印刷させたドルで支払うのである。これによって、「無」から利息付きの負債が発生して、FRBはその利息を手にするのである。(133622の引用)

FRBのドルに対し、日銀券の発行の仕組みはどうなっているのか。

日銀券は、財務省が毎年度発表する「日本銀行券製造計画」に基づき(実際の策定は日銀発券局)、日銀が国立印刷局に印刷を委託、日銀口座に一旦納付され、市中銀行への供給をもって発行となる。財務省によれば、通貨の製造計画は「必要とされる日本銀行券及び貨幣の円滑な供給を図る観点から、市中の流通状況や独立行政法人国立印刷局・独立行政法人造幣局の製造能力等を勘案の上、日本銀行券については製造枚数、貨幣については発行・製造枚数を定めています。」とある。リンク

例えば、平成19年度の日本銀行券製造計画は、合計で33億枚、15兆4700億円で、金額の約8割が一万円札だ(貨幣は12.6億枚、2400億円)。
リンク(H19年度日銀券製造計画) リンク(H19年度貨幣製造計画)

一方、国内での日銀券の総流通高は、平成18年度末段階で80.4兆円となっている。リンク(財務省「独立行政法人国立印刷局の概要」)

上記資料中にある昭和60年以降の通貨流通高の推移グラフをみると、昭和60年度の通貨流通高は約20兆円強、平成7年度で約40兆円となっている。この20年間、市中に出回る日銀券は、10年で約2倍のペースで増加してきたことになる。日銀によると一万円札の寿命は平均3〜4年というから、ここ10年に毎年15兆円ほど印刷された日銀券のうち、約10兆円前後が紙幣の寿命に対する補充、4〜5兆円が増刷という計算になる。

このように、日銀券の発行はFRBと違って政府国債の発行とは連動していない。だから国債の利子を中央銀行が直接手に入れる構造にもなっていない。また、紙幣発行が日銀の財務上は債務として計上される点も、連銀の債権証書であるドルとは性格が異なっている。

しかし、この20年、バブル期、不況期を問わず、日本国債の増加と符号するように通貨流通高は増加している。そして、日本では国債を直接引き受けるのは民間銀行だが、公開市場操作(資金供給オペ)を通じて日銀の国債保有が増しており、現在では全資産の7割弱を占める。
リンク(日銀のバランスシート)

つまり、日銀の資金供給オペ⇒国債買入れと連動して紙幣の増刷・発行も行われている可能性が高い。これが、155312で「日銀が連邦準備銀行に近づいている」と言われる理由だろう。
 
List
  この記事は 159121 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_159480
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
1997年日本銀行法はなぜ改正されたか? 「金貸しは、国家を相手に金を貸す」 07/12/16 AM01

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
『生命と場所』より…生命観
遺伝子の共同体
「利己的な遺伝子」を切開する 1
「利己的な遺伝子」を切開する 2
現状の「科学的事実」と言われているものの怪しさ
現在の生物学には何が欠けているのか
怪しげな「検証」と、危なげな「定説」
事実の体系とは永遠に進化しつづけるもの
一面的な実験データやツールとしての定説に囚われていては事実を見誤る
事実追求のスタンス
専門家集団と事実
科学と社会
「科学的事実」というドグマ
近代科学と知の体系、再考
近代科学について
実証主義を超えて2
専門家集団の自己完結性にひきつけて2・・「丸山ワクチン問題」
原爆をつくった星少年たち 2・・「科学者独自の倫理」
科学者集団の特徴A
数量化できない自然
仏教の対象認識 【受想行織】
詭弁を説明しようとするから難解になってゆく
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(2) 学習観念が役に立たないのはなぜか?
狂気の近代科学技術
原発:近代科学原理主義者たちの産物
なんで、こんなことになってしまったのか?⇒科学者たちの信じられないアホさ加減
素人が創る科学の世界〜プロローグ『科学的認識はすべて仮説、その神格化が創造の壁』
『科学はどこで道を誤ったのか?』(1)プロローグ〜「科学技術は万能」という幻想を打ち砕いた福島原発災害〜
『科学はどこで道を誤ったのか?』(2)古代オリエントの時代〜全てが共認対象として一体であった精霊信仰から精神を上位とし物質を下位とする二元論へ
『科学はどこで道を誤ったのか?』(5)ルネサンス(14〜16c)〜自然魔術による自然支配観念の萌芽と、「科学」「技術」統合への流れ
『科学はどこで道を誤ったのか?』(7)近代の前夜〜「科学技術による自然の征服」という思想の登場〜
『科学はどこで道を誤ったのか?』(9)近代U〜国家体制に組み込まれ、専門化体制の中で無能化した学者〜
『科学はどこで道を誤ったのか?』(10)〜“科学技術の申し子”が起こした惨劇
『科学はどこで道を誤ったのか?』(11)〜“観念の絶対視”が近代科学技術の根本問題〜
科学はどこで道を誤ったのか?』(13)中世後期〜キリスト教の権威付けのための大学の創設により、神の手先の「神官」から「学者」が登場する〜
楢崎皐月氏のカタカムナ説(1) 宇宙から素粒子に至るまで、万象は共通構造(相似象)を示す

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp