もはや学校は終っている
158714 江戸時代の教育(1)〜教育水準は地球史上でも群を抜く高さ〜
 
是永恒久 ( 30代 東京 会社員 ) 07/08/11 PM09 【印刷用へ
江戸時代の教育水準が高かったことが知られています。寺子屋がその教育水準の高さの理由ですが、その内容についても言及されており、興味深い社会システムです。この制度と現代の制度との差を考える上でも、参考になると思います。

「花のお江戸はボランティアで持つ」
リンク

以下引用です。

〜前略〜

 西洋が内なる戦争と外への植民地化に血道をあげていた頃、江戸日本は260年余の長い平和と繁栄の時代にあった。その差は教育水準に歴然とあらわれる。

■2.群を抜く教育水準■

 専門家の推定では、幕末の嘉永年間(1850年頃)での江戸での就学率は、70〜86%。これを以下のデータと比較してみよう。

  ・イギリス(1837年での大工業都市) 20〜25%
  ・フランス(1793年、フランス革命で初等教育を義務化・無料化   したが) 1.4%
  ・ソ連(1920年、モスクワ)20%

 江戸日本の教育水準がいかに群を抜いていたかが分かる。なぜこれだけの差がついたのか、単に物質的豊かさだけなら、産業革命に成功し、7つの海にまたがる広大な植民地を収奪したイギリスの方が、はるかに有利だったはずである。その秘密を探ってみよう。

■3.お師匠様はボランティア■

 当時の江戸には、1500余りの寺子屋や塾があった。幕末の全国では、1万5千にものぼる。僧侶や神官、武家、農民などが運営していたもので、幕府は直接的には一切、関与していなかった。これらの人々が自宅などに、10人から、大きいところでは100人程度の生徒を集め、読み書き、算術、地理、さらには、農業用語や漢文まで教えていたという。現在で言えば、正規の小中学校がなく、すべて町中の書道教室や学習塾のようなものだけだったと想像すれば良い。

 面白いのは、たいていの塾は、武家や僧侶、農民など、他に収入のある人達がやっているので、授業料などは生活の足し程度でしかなかったという点だ。生徒は「お志」として、都市部では多少の金品や菓子折り、農村部ではとれた野菜などを届ける程度であったという。現在なら、年金だけで食べていける定年後のお年寄りが、地域への奉仕として、子供達を教える、というような形である。今流に言えば、ボランティア活動であった。

 それでは、なぜ全国で1万5千もの塾ができる程、大勢のボランティアの先生がいたのだろうか。それは、先生になると、たとえ身分は町人でも、人別帳(戸籍)には、「手跡指南」など、知的職業人として登録され、生徒には「お師匠様」と尊称で呼ばれ、地域でも知識人、有徳者として尊敬された。優秀なお師匠様は将軍に直接拝謁して、お褒めの言葉をもらうこともあったという。

 お師匠様たちは物質的には豊かでなくとも、近隣の人々に感謝され、尊敬されるという精神的な価値で十分満足できたのである。

以上引用終わり。(2)へ続く。
 
List
  この記事は 158029 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_158714
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
319745 江戸時代の庶民の教育。寺子屋にみる「学び」を楽しむ文化 和三盆 16/09/20 PM06
本年もよろしくお願いします! 「新しい「農」のかたち」 08/01/01 AM06
江戸の自治組織「木戸番」ってどんな人? 「共同体社会と人類婚姻史」 07/08/23 AM11
学校ってどうなってるの?16 学校の歴史 「感謝の心を育むには」 07/08/12 PM04
158720 江戸時代の教育(2)〜本来の教育のあり方に学ぶ〜 是永恒久 07/08/11 PM10

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp