以下、代表的な個人主義者の詭弁です。
(大方個人主義者は以下のように主張します)
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個人主義と利己主義は当然ながらその意味が違います。しかし、現代社会の人々の生き方を見ていると、近頃の日本人はその意味の違いを理解していないように思われます。あるいは、これらの二つの言葉を、各人が自分の都合のよいように勝手に解釈しているのかもしれません。
個人主義は、個々の人間の主体性を重んじて、一人一人の個人が自由に生きることの権利が保障されている代わりに、個々の人間が集合して成立する社会に対して個人としての自覚と責任を負うものだと思います。
一方、利己主義は、自分が益することだけを行為の基準として、他者のことや個々の人間で成り立つ社会の利益を全く考慮することなしに、自己本位な生き方を推し進める考え方でしょう。
個人主義と利己主義という、これら二つの言葉に対するおおまかな定義からも、その違いが明らかだろうと思います。この定義に当てはめて、近頃の日本人が個人主義というよりも非常に利己的であることが理解できるのではないでしょうか。日本人は個人主義と利己主義をはき違えてしまっているように思えます。
まず私たち日本人が為すべきこととは、個人主義と利己主義の違いをしっかりと理解して、害悪なる利己主義を徹底的に排除することでしょう。個々なる人間の主体性を重んじる個人主義は、如何なる国においても社会の基盤になるものだと思います。良い意味での個人主義が日本人の心の中に根づくのは非常に大切なことでしょう。
けれども、個人主義はともすれば、自由の意味をはき違えて利己主義になりがちですから、個人主義の根幹を成す自由というものの概念を各個人がしっかりと把捉しなければならないでしょう。
社会において個人の自由が保障されるということは、それに伴って個人の責任が付帯されることを意味しています。自分の好き勝手にしてよいということが、自由の意味ではありません。それは自由の意味をはき違えていることです。
自分が自由でありたいためには、他者や社会に対して責任を負うのであり、他者の自由を侵害してはならないのです。自分が自由気ままに行動することで、他人の自由を侵害するようなことがあれば、それは利己主義であって、断じて個人主義ではありません。換言して、他人に迷惑をかける行為はすべて利己的な行為であるということを、各人がしっかりと心得ることでしょう。
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