【骨子】
@導入
人類史500万年の99.9%は戦争はない状態だった。
しかし約6000年前、戦争=掠奪闘争は遊牧部族から勃発する。
A遊牧部族の婚姻制度の欠陥
父系制転換は女の不安、勇士集中婚は男の評価不満を肥大化させる。不満の高まった女と男の邪心期待から規範破りの不倫が発生。
集団崩壊の危機を迎える。
B不倫=集団崩壊の危機にどう対応したのか?
最初は警告→罰則→放遂だったが、肥大した自我ゆえに逆恨みの小競り合いや家畜の掠め取りが発生。
集団維持のため「仲間を傷つけるもの=敵」を共認し「死刑=同類殺し」へと制裁を強化する。
C掠奪闘争の発生
6000年頃前、急激な乾燥・寒冷化により自然外圧上昇→部族間の縄張り侵犯が頻繁に発生。
「縄張りを侵すもの=敵」を元に「やられたらやり返す」がエスカレートする中「同類殺し」の集団内規範を部族外の集団へ適用。
ついに人類は掠奪闘争=戦争へと突入してしまう。
【補足】
A遊牧部族の婚姻制度の欠陥
(女の不安)
・生まれたときからずっと一緒の母系集団に比べ、女一人で他集団に嫁ぐことになる父系制では、得られる安心感は圧倒的に小さい。
・また女が嫁ぐとき、出身集団から持参財(家畜=食い扶持)を送ることになっていたが、その家畜の多寡や良し悪し(乳が良く出ればいい等)で、嫁ぎ先での扱いも変わってくる。
・それらあいまって、父系制では、女たちの不安は非常に大きくなった。
・嫁いだ女が母親になると、「自分の娘が移籍する際は肩身の狭い思いをさせたくない」「持参財(家畜)は少しでもいいものを」という親心は当然で、そのためにも、男たちにもっと家畜を増やすように、もっと縄張りを拡大するように期待してゆくことになる。
・この不安発の蓄財要求は集団内に私有意識を芽生えさせる。
・また、女の不安初の要求増大は自身の評価を下げる→首雄の寵愛がなくなる→さらに不安が高まるという悪循環に陥ってしまう。
(勇士以外の男の不満)
・極限時代(洞窟時代)に比べれば格段に外敵圧力の下がった男達の間には、じわじわと性闘争本能が頭をもたげてくる。
・ボス集中婚から上位集中婚へと形を変え、勇者資格を得られればボスでなくとも女を得られるようになる。
・遊牧部族の場合、同じ集団内で同じ外圧を受けて育つ男達の闘争能力はさほど大きな差がつく訳でもなく、僅差によって勇者資格が決められた場合、当然評価不満が生まれてしまう。
(不倫の発生)
・ほんのデキ心であっても、集団にとっては規範解体は集団崩壊を意味する危機的状況となる。よって、規範破りを犯したものへは強力な罰則を設けることとなった。
・ハンムラビ法典やキリスト教、あるいは未開部族の掟などを見ても姦通罪は重罪扱いである。これは、性の引力の強さを、力の原理によってねじ伏せようとしてきた証しでもある。
B死の制裁=同類殺し
・同類殺しは人類の本能にはセットされていない。
規範破り=自己中は集団の敵。この共認の元、ついには身内である仲間であっても、規範破りを犯すものへの制裁はエスカレートしていく。この段階で初めて「同類殺し」が発生してしまった。
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