少子化が止まらない。ついに日本の人口は減少に転じるようだ。厚生労働省はその対策として、企業に対して子育て支援の行動計画の策定を義務付けた。
これで効果はあるのだろうか?
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○次世代育成支援対策推進法に基づき、従業員数が301人以上の企業では、2005(平成17)年4月から次世代育成支援のための行動計画を策定し、実施することになった。行動計画に定めた目標を達成したことなど一定の要件を満たす場合には、申請により厚生労働大臣(実際は権限を委任された都道府県労働局長)の「認定」を受けることができ、その企業は「次世代認定マーク」を広告等で利用できる
一般事業主行動計画の内容に関する事項
以下のような事項から必要なものを、事業所の実情に応じて選択して定めることが出来ます。
とくに1と2について、行動計画に掲げた目標を達成したこと等の基準を満たすことにより認定企業とされ、企業の商品、広告等に認定を受けたことを示す表示(次世代認定マーク)を使用できることが認められます。
1.子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備
・妊娠中及び出産後における配慮
・子どもの出生時における父親の休暇取得の促進
・育児・介護休業法の規定を上回る、より利用しやすい育児休業制度の実施
・育児休業期間中の代替要員の確保や育児休業中の労働者の職業能力の開発・向上等、育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備
・短時間勤務制度やフレックスタイム制度の実施等、労働者が子育てのための時間を確保できるようにするための措置の実施
・事業所内託児施設の設置及び運営
・子育てサービスの費用の援助の実施
・より利用しやすい子どもの看護のための休暇の措置の実施
・育児等退職者についての再雇用特別措置等の実施 等
2.働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
・ノー残業デー等の導入・拡充や企業内の意識啓発等による所定外労働の削減
・年次有給休暇の取得の促進
・短時間勤務や隔日勤務等の多様就業型ワークシェアリングの実施
・テレワーク(ITを利用した場所・時間にとらわれない働き方)の導入
・職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識の是正のための意識啓発
3.その他の次世代育成支援対策
・託児室・授乳コーナーの設置等による子育てバリアフリーの推進
・地域における子育て支援活動への労働者の積極的な参加の支援等、子ども・子育てに関する地域貢献活動の実施
・子どもが保護者の働いているところを実際に見ることができる「子ども参観日」の実施
・企業内における家庭教育に関する学習機会の提供
・インターンシップやトライアル雇用等を通じた若年者の安定就労・自立した生活の推進
○2005(平成17)年9月末時点で、全国の従業員数301人以上の企業のうち、各地の労働局に対して行動計画作成の届出があったのは、全体の84.4%である。
少子化の原因を経済的なものとして捉えるのであれば、上記のような政府の対策(足りないお金や時間の援助)は一定有効なのかもしれない。しかし、「子どもを産み育てたいと望む人たちが、安心して活力を持って子育てできる環境」には繋がっていないように感じる。
都市化の進行は家族や地域の形を大きく変えた。それによって出産や子育てにも影響が現れている。
例えば、女性の社会進出は、閉ざされた家庭では得られない男性へ共認充足、そして女性としての役割や評価を期待しての動きである。子育ての不安は、「お金や時間が足りずに育てられない」というものではなく、「どう育てたらいいのか分からない」もしくは「自分に子供が育てられるのだろうか」というものである。
少子化の問題を考える時には、まず出産・子育ては集団しいては社会全体の課題であるという大前提をおさえる必要がある。本質的には、闘争(生産)の場と生殖(消費)の場の分断をいかに修復していくか、共同体をいかに再生していくかということである。
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