78729「自我経済学から共認経済学へ」
>豊かさが実現した現代日本は、もはや自我経済学の原理は成立しない。若い人たちを中心に、特に欲しい物はない、お金のためだけに働く気にはならない、特に出世したいと思わない、という人が既に多数派になっている。
>人々が私利私欲の追求を第一とし、(無限に)物や金をほしがるという自我経済学の原理は崩壊した。
自我経済学は、人々の自我を前提としており、それを疑うこともなく、その成立構造にまで解明が及ぶことはなかった。だから、市場原理の中でうまく自我は制御されているんだという思い込み=「神の見えざる手」を信奉するという過ちを犯してしまった。
しかし、自我は絶対唯一の存在ではなく、またそれによって成り立つ市場が自ずと調和することなどありはしない。自我を制御しうるのは、力の序列原理(国家原理)のみであった。そしてそれは、貧困の圧力(=生存圧力)が働いていなければ、働かない原理でもあった。つまり、自我経済学によって体制化された市場経済社会は、生存圧力の消滅した1970年頃から、暴走→崩壊する運命にあったのだ。
「神の見えざる手」とは、漠然と市場原理の凄さを捉えてきたように思うが、自我を原点とした経済学であり市場であるということを認識すれば、そこにそんな力は働いていないことに気づく。
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