生物の起源と歴史
89743 「飢餓物質」⇒「合体」⇒「休眠態」の適応法則
 
吉国幹雄 ( 52 講師 ) 05/04/29 PM01 【印刷用へ
クラミドモナスは群体を作らないボルボックス目の真核単細胞ですが、一つの膜に複数のクラミドモナスが囲まれた群体に近いものから、二つのクラミドモナスが膜融合→核融合まで進むものまであり、受精や多細胞化の原初形態といえるかもしれません。
●群体 リンク
●クラミドモナス リンク

>クラミドモナスは、染色体を一セットしか持っておらず、われわれで言えば、精子や卵と同じ。これが合体すると染色体を二セット持つわれわれの体の細胞と同じになる。つまり、飢餓状態に置かれたクラミドモナスが合体して染色体を二セット持つ細胞になったのは、ちょうど受精したのと同じことになるわけである。<(88641、志水さん)

クラミドモナスは二匹合体すると厳しい環境下で休眠し、(DNAのシャッフル後)、環境条件が好転すると減数分裂してまた活発に動き回るようです。一倍体が活性状態、二倍体が休眠(防衛)状態ということでしょうか。飢餓状態で合体する、飢餓状態で休眠するというのは、(雌雄に特化・分化をとげていない)生物界を通じてかなり普遍的な適応戦略だったのではないでしょうか。

例えば、単為生殖を行うミジンコ(26937)は環境条件が悪くなると、両性生殖(DNAシャッフル)を行い休眠カプセルとなって環境がよくなるまで眠ります。
また細胞性粘菌(5921)は、環境が悪化してくるとお互いが出し合う飢餓物質(cAMP)によって多細胞化して子実体となって少しでも環境のましな方へ動き出し、胞子を飛ばします。胞子や種子は休眠態と捉えることも出来ます。

外圧が適応限界を超え飢餓物質が閾値を超えたときに、個体が寄り添って多細胞生物、または多核(異核)細胞体を形成し、休眠態となって(シールドを張って)過酷な外圧をやり過ごすという適応戦略です。「飢餓」⇒「合体(融合)」⇒「休眠態」という流れでしょうか。そうすると、過酷な外圧に晒されて、近未来・新環境に可能性を託す強い「休眠態」には「合体(融合)」が必要という事実が抽出されます。現在の植物の多くの生活環にも通じることです。生物は寄り添うことで外圧の激変を突破しようとした!

ただ、オスメス分化とは、オスメスの機能分化・役割分化が直接関わるでしょうから、直ちにこれがオスメス分化の始まりだとは言いがたいかもしれません。が、受精の原初形態とみるのは可能です。たまたま変異(差異)の大きな2個体の融合がより強い休眠態(おそらく、修復機能の獲得も有ると思います)を生み出して、外圧を乗り切ったとしたら、そのような種が適応して生き残っていったでしょうから。差異を拡大する方向でオスメスに分化していったという仮説も成り立ちます。(詳細の検討事項は多くありますが)

ただ面白いことに、クラミドモナスの例では、「休眠態」は再び減数分裂をして1倍体の活性体に戻ります。そうすると、1倍体がクラミドモナスの進化を押し進める本来の姿で、その1倍体を適応生存させるために2倍体という仮の姿を必要としたと考えれば、現在我々が行っている生殖の位置と反対になります。つまり、我々の生殖段階では「1倍体」⇒「2倍体(休眠体)」⇒「1倍体」ではなく、定常は2倍体でありながら、生殖段階で1倍体となって、受精することで再び「2倍体」となっているからです。

これらの微生物は、だから微生物のままで留まっているという見方も出来ます。そうすると、どの段階かで2媒体と1媒体の比重がパラダイム転換する段階があるはずで、この段階がオスメス分化の転換点でしょうか。
 
 
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