新しい男女関係(→婚姻制)の模索
87643 「男女役割が逆転している社会」は実在したのか?
 
阪本剛 HP ( 31 SE ) 05/03/20 AM01 【印刷用へ
> どう考えてもおかしい。でも法制化されれば強制力をもってしまう。しかもこんな観念教育が一部の小・中学校でなされている。正直、ここまでくると恐ろしくなりました。 (87458 「ジェンダーフリーの実態 」廣重さん)
 
 事態は、もっと深刻かもしれません。一部の学校どころか、学校の外の普通の人々も、誤った認識で誘導されている可能性があるからです。

■マーガレット・ミードの報告
 学校の授業などで、「男らしさ」「女らしさ」を否定するときに、必ずといっていいほど紹介されるのが、人類学者マーガレット・ミードが1930年代に『3つの未開社会における性と気質』の中で紹介した、「男女役割が逆転している社会」、パプア・ニューギニアのチャンブリ族の例です。

 この部族では、男性は女性的に、女性は男性的に振舞っていた、というのです。

・女は強く偉そうに振る舞い、生産活動を担う。
・男達は女から食料や金を得るなど依存している。
・男は絵画、踊りなどに時間を費やし、身づくろいに気をくばっている。
 等の事例を挙げて、
 男と女の役割は世界的に見れば固定的でなく、だから男女の生物学的な違いと役割の間に関係はないし、男らしさ、女らしさというのは固定観念である、としてジェンダーフリーの理念を補強するために使われています。
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■誤りが判明したミードの報告
 しかし、後年、人類学者のデボラ・ゲワーツが1970年代に、チャンブリ族を再調査したところ、ミードの報告は間違っていたか誤解であることが判明しました。
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 男が「女らしい」事実はなかったし、男が絵を描いていたり、踊りに専念していた背後には、1930年代当時のチャンブリ族固有の特殊な事情があったことがわかったのです。

■統合様式の再建に取り組んでいた男達
 チャンブリ族が他の部族との戦争で敗北し、長年住んでいた故郷を離れていた時期があり、ミードが彼らを調べたのは、その生まれ故郷に戻ってきたばかりの時でした。
 チャンブリ族が放浪を余儀なくされていた間に、彼らの建物、儀礼の道具は焼却されてしまっていました。ミードが「非生産的な芸術活動」と報告したのは、チャンブリの男達がいそしんでいた、失われたこれらの再建、再生活動だったのです。

 言うまでもなく、集団にとって最も重要な課題は集団統合様式の構築です。
 チャンブリの男達は、非生産的どころか、最重要課題、すなわち集団統合課題として儀礼などの再建にまず取り組んでいたわけです。そのような統合課題の重要性を、ミードは理解できなかったのかもしれません。

■部族間序列に基づいた女達の態度
 また、チャンブリ族の女が偉そうにしていたのは、同じ部族の男に対してではなく、実は、他の部族の女に対してだったようです。
 チャンブリ族は、その部族に対して優位に立っていたので、女同士でも、チャンブリ族の女は、部族間の序列に基づいて優位な態度をしていたのです。
 また、婚姻形態においては、一夫多妻で、確かに女たちは生産の担い手ではあったが、重要な取引の決定や、生産物のコントロールは、男達の仕事であった、といったことがわかっています。

■日本の教育現場の実態
 時が経てば、新たな現象、事実の発見は繰り返されるのですから、そのたびに改めて認識を組み替えなおしていけばいいと思うのですが、現実の学問の現場はそうはなっていないようです。

 日本でも、国語や社会、保健体育などの学校の教科書の中では、現在でも、ミードの報告を正しいものとして、男女役割や男らしさ、女らしさを否定・相対化し続ける「根拠」として使われています。
(中にはミードの報告が間違っていた事は認めつつ、でも男女役割はよくないと「思う」から否定する、という、訳の解らない学者もいるのです。)

 素直な生徒達は、(心の奥底で何か違和感を抱きつつも)男女の役割なんてないんだ、人それぞれなんだ、と思うかもしれません。今も、全国の学校で、このようなデタラメな教科書に基づく、明らかな「洗脳」が続いていることになります。

 始末に悪いことに、このような間違った(かつ誤りもかなり以前に指摘された)認識が人類学だけでなく、様々な学問、社会学、心理学でも引用され、様々なカウンセリングや相談の場面で実際に使われているのです。例えば、「男らしさ、女らしさなんて気にしなくていいんだ」、といった具合に、学校の外の世界にいる、素人の人々も「洗脳」の対象になっています。
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151988 旧い学説にしがみついている人と煽るマスコミ 復讐の叫び 07/05/19 AM00
マーガレット・ミードは、観念論者(嘘つき)で論文は使えない。 「共同体社会と人類婚姻史」 07/05/17 PM10

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