古代社会
83825 エラム文明との交易から市場の起源を探る
 
辻一洋 ( 39 企画 ) 05/01/09 PM09 【印刷用へ
市場の起源を探るためにメソポタミア文明を調べはじめました。

> 新石器時代の貝殻や黒曜石中心の貿易に対し、
・建材としての木材、石材、ラピスラズリなどの宝石が輸入され、
・増大した人口を養っても余る穀物が輸出され、オリエントの他地方の局地的農耕社会を圧迫していた。(貿易問題の起源)
 たぶん、商人も出現していたであろう。(阪本氏41517)

阪本氏の指摘されているようにウルク期(BC3000年前後)には、既に神殿経済を中心とした交易が存在しているようです。主な交易相手とされるエラム文明との関係はいかなるものだったのでしょうか?

イラン高原に存在したエラム文明(アラッタ国)は、クロライト(緑泥石)と呼ばれる石材や、木材が豊富で、アフガニスタンで産出されるラピスラズリ(瑠璃石)と呼ばれる宝石(性幻想ではなく神殿需要)の交易上の中継点でもあったとされています。

>エラム文明は6000年以上前にチグリス川近くのスーサに始まった文明で、農産物以外は乏しいメソポタミア文明にイラン高原から物資を供給する商社のような役割を担っていました。
ところが、4700年前にメソポタミアから軍事攻撃を受け首都スーサを奪われました。彼等は新しい首都を、シュメールとインダスのほぼ中間地点にあるシャハダードに移し、その後も依然として東方の物資をメソポタミアに売り込むと同時にシュメールの先進的知識を吸収していました。

と松尾さんは41257で指摘されていますが、シャハダード西方の都市ジロフトから大量の遺物が発掘され、ジロフトを中心とするメソポタミアに匹敵する文明の可能性も出てきたようです。
(参考:リンク

エラム文明とメソポタミアの関係ですが、ウルク等のメソポタミア都市国家による軍事支配の可能性は一時的にはあったにせよ所詮都市国家ゆえ、長期的に支配することはなかったと思われます。したがって主従関係のない取引関係=交易だと考えられますが、一方で同じエラム文明はインダス文明とメソポタミアとの媒介役も担っており(上記41257松尾さん)、こちらはインダスからメソポタミアへの一方的な献上関係となっており武力闘争は生じなくとも間接的な支配関係のようです。

だとするとエラムとメソポタミアは、
1.力関係が拮抗しているがゆえ戦争を回避するための取引関係が成立した。
2.どちらもイラン高原が出自であり、遠縁の部族ゆえ同類圧力を避けるために贈与関係を結ぶ。
のいずれかだと思われますが、侵略性の高いシュメール人であり、インダスとは収奪的取引関係を結んでいることからも1.が有力だと思われます。

古代文明(おそらくエジプトも)においては性市場発ではなく、国家需要=神殿や建築需要が市場の原点と考えられる点も注目に値します。
 
 
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107268 武力を背景にしたシュメールの交易 熊谷順治 06/03/13 AM00

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