思考革命:問題意識発から可能性発へ
57011 相対論(=真理主義の自己否定)の限界と突破口
 
山澤貴志 ( 38 ITコンサル ) 03/06/16 AM02 【印刷用へ
サルトルの「地獄とは他人のことだ」に対してレヴィストロースは「地獄とは自分のことだ」というアンチテーゼをぶつけたといいます。

レヴィストロースは、神話や未開社会のフィールドワークを通じて、「神話には人間の自然に対する傲慢や堕落思考に対する戒め」が語られていることや「婚姻制度や贈与により異なる集団が巧妙に対立を回避させている」ことを知り、未開社会における「自我の防止策」に敬意を払いながら、それに比べると西洋の「自我に拘った」世界認識の稚拙さと、それが結果的に未開社会の侵略を推し進めたことに深い反省を持った人です。

そして主体=人間が世界を認識する絶対的根拠=真理を求めることを止め、人間も自然や社会のひとつの構成要素としてつながりの中から普遍的な社会構造をみつけていこうとしました。レヴイストロースの構造主義は、西洋の真理主義をひとつの制度に過ぎないとみなした点で相対主義の先駆者といえるでしょう。

つまり相対論は西洋の真理主義の持つ傲慢さに対する西洋自身による自己否定、自己解体のための認識論の必要性から産み出されたものなのです。

しかし、現在、相対論は「人それぞれ」といったばらばらの主体によるばらばらな世界理解を容認するだけで、自我に都合のいいだけの一面的な真理を押し付ける真理主義は解体したものの、むしろ西洋の自我思想を生きながらえさせるだけの思想に堕落しています。(ただアメリカの最近の独善をみているとその効果のほども怪しいのですが)

相対主義が自我思想を否定しきれないどころかむしろその延命に手を貸すという矛盾、その萌芽はレヴィストロース自身に既にあったといってよいでしょう。レヴィストロース自身、「私は自分の人格的同一性=アイデンテティの実感を持ったことがありません」といい「人間に人格的アイデンテティを押し付けているのは社会であり、この社会の圧力が人格的アイデンテティを強く意識させているのです」といっているように、実は西洋知識人故の「アイデンテティの不在」不安を煩い、自我に根拠を置くことを捨てはしたものの、自我を形成しているところの社会圧力についてはあいかわらずマイナス圧力として受けとめていたのです。

>現実否定→倒錯観念は、本源価値にとって都合の悪い現実を捨象するだけで、決して現実を対象化することができない(古代思想)。 現実に可能性が開かれても、現実を否定対象としてしか対象化できず、決して現実の可能性を対象化し構造化することが出来ない(近代思想)。従って、現実否定の倒錯思考は、現実を構成する最も重要な下部意識を全うに対象化することが出来ない(従って、例えば共認回路の存在さえ、彼らは知らない)。

>ところが、’70年、貧困の消滅によって、下部意識が大転換してゆく。常に次代へ向かう人々の先端意識は、すでに私権収束から本源収束へと転換した。残存する自我・私権意識は、放っておいてもとことん衰弱してゆき、いずれは消滅する。 従って、自我・私権を否定することにこだわるよりも、その奥にある新しい充足基調⇒本源収束という可能性の実現に、意識の焦点を当てた方が良い。(21090

社会を自我=地獄を形成したマイナスのものと捉えるしかなかった近代思想では、相対論といえども人々の自我意識の突破口も社会統合の突破口も提示することはできないのです。

自我に縛られた主体の思想も、自我を否定しつつも現実否定意識を超えられなかった相対論も超えて、私たちは現実肯定の観念パラダイムを作り出していかなければ、意識を統合することも出来ないし、まして「人々の意識の集合体」である社会を統合することも不可能なのです。

そして交流会運動において、様々なみんなの何でだろう?を統合していくプロセスとは、みんなの潜在思念を現実肯定視のもとに統合していくという観念パラダイム=思考方法の大転換の優れた演習の場であり、レヴイストロースが現実否定ゆえに未開社会においてしかできなかった人類に普遍的な共認構造の発見を、先進国日本の現実の真っ只中で実現していくという知的創造の最先端に位置づけられる。

ここからまさに観念パラダイムの転換が始まり、全く新しい社会統合が始まっていくのだと思うと、ますますやる気が沸いてきます。
 
 
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