日本人の起源(縄文・弥生・大和)
39688 日本における私権時代への移行
 
北村浩司 ( 壮年 広報 ) 02/09/10 AM02 【印刷用へ
日本における私権時代への移行は、渡来人の価値観と制度がターニングポイントとなっていることが既に明らかになっている。この移行期における変化の推移を具体的に抑えていきたいと思う。学界では弥生時代を作ったのは北方民族であるという説が有力なようだが、実際は2段階であった可能性が高い。
まず2300年前後に日本に稲作を持ち込んだ部族は江南人と考えられる。
江南人とは中国の長江の下流及びその南部にいた人々を指す(当時の呉・越)。そして弥生時代を領導したのは彼らではないかと考えられる。

以下にそのいくつかの根拠を上げる
@日本の水稲に一番近い品種は、華中のジャポニカである。
A弥生時代に登場した高床式建築は(それに用いられている鼠返し、千木、鰹木も含め)江南地方から東南アジアにかけて見られる様式である。B弥生に見られる墳丘墓(地面より高いところに埋める様式)は江南の呉越の土敦墓等ごく限られた地域の埋葬形式である。

つまり弥生時代は江南地方という特定地域のみに見られる文化の移入が顕著である。

当時の大陸(中国)は、群雄割拠の時代である。2500年前に中国は斉・普・楚・呉・越の五国に分かれ相争っていた。その後2400年前には楚が長江全域を制覇していく。つまり当時既に呉越両国は押され気味であった可能性が高く、散発的に落ち武者が難を逃れて移住していた可能性が高い。つまり最も早ければ2500年前から既に江南人は(少数)九州その他に漂着していた可能性がある。そして稲作の伝播ルートから考えて、南朝鮮を経由した可能性が高い。更にその後2400年前に制圧された(滅亡した)江南人は新天地を求め、次々と日本に漂着したのではないか?(この漂着は最大2100年前まで約400年に亘った可能性がある)彼らはそれぞれ日本に少数の集団として定住する(一部は縄文集落に受け入れか?)。

彼らは戦乱の最中にあった部族である。かつ水稲農耕の技術と鉄器を持ち、租税制(階級支配)を既に経験している。当初は彼らは少数で、縄文人に対しての戦闘は行わなかったと考えられる。実際史跡でも縄文人の骨から矢じりの痕が残るものはごく少数である。(しかし少ないながらも江南人同士の戦闘は存在した可能性がある。それが居徳か?)それどころか部分的には縄文集落に受け入れてもらい高い技術力をもって、世代を経て指導的立場に立ったことも考えられる。それは縄文人の受容れ体質から考えて充分にあり得る。加えて縄文末期は寒冷化の過程にあり、ピーク時に比して西日本では人口は1/4に激減。つまり食糧確保や生産力増強の必要があったのである。

その後高い技術力と組織論を持つ江南集落の人口は(或いは江南人の指導者を受容れた集落)は急速に大規模化する。おそらくそのように大規模化し縄文集落に拮抗or上回る頃から本格的に侵攻を開始したのではないか?

因みに彼らの婚姻様式は(推定だが)妻問婚の様式である(ごく最近まで江南地方からインドシナ半島では妻問い婚の風習が残っていたことから)。一部は縄文集落への受容れを通じて、そして服属を通じて、縄文人と江南人の混血が進んでいく、おそらくそれが弥生人なのではないだろうか?

ここで、何よりも重要なことは、彼らが持ち込んだ最大のものは稲作などではなく、「私権意識と私権制度」であることである。あるいは母系制で縄文人がまだしも受容れやすい(?)、妻問い婚という婚姻制度であるとはいえ、私婚制度を持ち込んだことである。そのようにして西日本では(とりわけ九州地方)私権化した弥生人が勢力を増大させ本格的侵攻を開始する。その結果各地に部族国家が乱立する。(おそらくその過程では残存する縄文部族は山間等僻地に後退したのだろう。)

そのような時代が弥生時代(前期)なのではないだろうか?
その後弥生時代後記(1800〜1700年前)に北方民族が本格的に襲来することで、広域の国家成立(大和)への道を辿っていたのではないか。
 
 
 
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_39688

 この記事に対する返信とトラックバック
「稲作伝播は私権社会の引き金か?」6〜渡来人が持ち込んだ「私権意識と私婚制度」 「縄文と古代文明を探求しよう!」 10/01/19 PM07
193868 縄文〜弥生時代、なぜ集団婚から個人婚に変わったのか 佐藤晴彦 08/12/03 AM11
日本における私権社会への移行(渡来人第1波が作った土台) 「縄文と古代文明を探求しよう!」 08/07/01 PM11
132035 政略結婚への変質 峯川満章 06/09/25 PM09
103975 日本社会は共認社会に先頭を切って移行していける 匿名希望 06/01/13 PM10
103153 「族内婚⇒族外婚」への変化と私権意識の関係は? 匿名希望 05/12/25 PM05
101565 縄文と弥生 ミスター 05/11/28 PM01
96881 古墳時代の統合原理 坂本日出夫 05/09/05 PM09
95875 私婚制度が入るまでの日本の婚姻形態 田村飛鳥 05/08/11 PM09
95577 縄文人のパラダイム転換 太刀川省治 05/08/04 PM11
94055 私権の衰退 琵琶湖 05/07/07 PM02
93917 江南起源の絹織物、漆製品、ジャポニカ 岡本誠 05/07/04 PM09
91470 恩讐の彼方へ〜その昔江南人は 田中令三 05/05/26 PM01
91397 中国の起源を探る〜「龍の文明・太陽の文明」 田野健 05/05/25 AM01
86258 歴史に見る日本人体質 西知子 05/02/24 PM09
40116 妻問い婚は私権制度の引き金か? 1 田野健 02/09/15 AM00

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、47年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp