脳回路と駆動物質
344429 視覚の二元化・類型化機能の獲得過程
 
本田真吾 HP ( 壮年 建築家 ) 19/03/26 AM00 【印刷用へ
眼が登場したのがカンブリア紀。この時代は、奇妙な形をした種が大量に発生した。その形態は、攻撃用の強いハサミや口を持った生物や、その攻撃から身を守る大きく堅い棘で覆われた形態などで、生物史上はじめての厳しい外敵闘争に対応するために多様な種へと進化した。その時代の覇者の一つがアノマロカリスという節足動物で眼をもっていた。この眼は、現生の近縁種のヤドカリ・カニ・エビ・昆虫と同じ複眼だったと思われる。

複眼は、円錐状の筒の底部に一つの視細胞が接続されたユニットが、多数くっついて半球状になったもので、進化した単眼のように、網膜上に視細胞だけがつながって並ぶ形状とは異なる。そして複眼は、筒の軸上の光は入るが、軸から大きくずれると直接光は遮られて見えなくなる。それに対して、単眼は眼球内に入った光を網膜上で広く捉えることができる。また、視細胞の数も進化した単眼の方が圧倒的に多い。

この様な構造から、複眼の見え方は、光が入る部分と、遮られる部分の差異の認識が基本で、移動する物体を多数の複眼が順次その変化を利用して認識するのだと思う。また、視細胞同士連携も大脳が(ほとんど)無いためうまくいかず、機能的は極めて解像度が悪いものであったと思われる。そのため、複眼の数に分割された、変化するモザイク画像の様な認識しかできなかったのではないか。

その様な状況の中で、脊椎動物の先祖が誕生する。動きが遅く、柔らかい体しか持たない初期脊椎動物にとって外敵をすばやく察知し、逃げるのが第一課題になる。しかし、解像度の低い複眼様の映像と、極めて小さな大脳しか持ち合わせていないため、その限界を突破するために、『動くもの(敵)』と『それ以外』という二元化機能を獲得し、大脳の容量限界を突破しようとした。そのイメージは、モザイク映像の中の動く部分の塊を一括りにして、その中心付近を一つの点(丸い影)として類型化して適応した。

その後、目も脳も進化し単眼になり少し解像度が上がると、次に問題になるのが、外敵のうち最も危険な、攻撃を仕掛けてくる頭部の認識になった。この段階では、動く点(丸い影)の中の映像も、もう少し鮮明になってきたが、数ある外敵のすべての頭部(顔)を記憶できるほど脳容量は大きくないので、『二つの眼と一つの口』を三角形の各頂点にある点として類型化して、敵の頭部(顔)を判別することで適応した。この原理は、現代のデジカメの顔感知にも応用されているし、実際、三角形の各頂点を想定した3つ点を書いただけで、人間の場合でも顔に見える。

その次に獲得するのが、敵の大きさを感知する棒のような線であるが、これは、空間上にあらゆる方向で存在するので、より眼の解像度も、それを空間認識する脳容量も必要になるので、もっとあとになる。その進化の最先端にあるのが、サルや人類の立体視であり、網膜上に映し出された平面映像を、大脳の処理により立体として認識することができる。

この根拠として、線路上から線路方向にとった写真は、二本の斜めの線がつくった山でしか無いが、人間は遠近感のある線路と認識する。視覚障害があり、成長後に開眼手術を受けた人は、立体視の脳回ができておらず、上記の線路写真は立体的に認識できないという事例(19614)がある。
 
 
  この記事は 343680 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_344429

 この記事に対する返信とトラックバック
346323 脳神経細胞、年齢に関係なく増え続けることが判明 志水満 19/05/29 PM11
346306 英国と米国の社会主義化と人口削減につながるAI〜その1 惻隠之心 19/05/29 AM10
346280 ワシントン州:死体をたい肥にします。 志水満 19/05/28 PM00

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、46年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp