私権原理から共認原理への大転換
340568 贈与関係が取引関係を制覇する時代がくる
 
雪竹恭一 ( 56 営業 ) 18/11/04 PM08 【印刷用へ
贈与経済が実現するまでには100年ぐらいはかかるかも知れないが、現在においてもその萌芽はいろいろある。意外とそう遠くない将来に実現するかも知れない。

現在においても、既に贈与関係が取引関係を制覇するという事象は様々に広がりつつある。例えば、飲食業や旅館業などの接客業では、顧客の評価を決めるのは、どれだけおもてなしの心がこもっているか。決して、料金に含まれるサービスや料金そのものではない。料金には含まれないおもてなし=贈与が顧客の満足度を大きく左右し、贈与による満足度がまたお金を払って来たいという評価につながる。

或いは、デザインや設計といった意識生産も、報酬をいただいて提供するサービス内容だけが顧客の評価を決めるとは限らない。むしろ、報酬にはならない、顧客との親和充足や追求充足、それを通じた活力再生、組織活性化など、契約外の業務で、どれだけ顧客のために追求をしたか=贈与関係が顧客の評価を大きく左右するようになっている。贈与による満足度が、また一緒に仕事をしたいという評価につながる。

さらには、医者や弁護士などの資格で守られている職業にもそれは言える。彼らの評判は、単に資格で定められたサービスを提供するだけではなく、どれだけ親身になって患者や相談者に寄り添い、報酬規程を超えた仕事に汗をかいたかという贈与関係で決まる。

日本人の働き方は、昔から取引関係よりは贈与関係を大事にしてきたという面はあるが、近年になって贈与関係の比重は増していると思う。おそらく、それは人々の活力源=仕事の目的が私権から本源へ移行していることが背景にある。私権時代は、モノやサービスの機能に対する価格の競争力が市場の制覇力だったが、本源充足の実現可能性が開かれた時代になると、価格競争力よりは、本源充足力が制覇力になっていく。贈与という行為は、本源充足力のベースになる行為であるがゆえに、贈与関係が取引関係をも制覇するようになってきているのではないかと思う。

しかし、それは取引関係を有利に進めようとする邪心から来るものでは本物ではない。邪心が見抜かれると、逆に有難迷惑ともとられかねない。元々の日本人の精神がそうであったように、贈与関係は、邪心抜きで、見返りを求めない純粋な心からしか生まれないということは肝に銘じておきたい。
 
 
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