日本を守るのに、右も左もない
317754 江戸時代の事実から、近代思想が本源性を壊していく過程を観る
 
本田真吾 HP ( 壮年 建築家 ) 16/07/28 AM02 【印刷用へ
江戸時代は、毎年農民による暴動があり、全部で1500回くらいの農民一揆があったとする日本の歴史家は多い。しかし、実態は、村の代表者や近郷のいくつかの村の代表者たちが一緒に大名屋敷へ参上し、年貢の軽減を願い出、それに対して大名側もその理由を斟酌してきた、きわめて共同体的な営みが「農民一揆」に数えられていた。

このような事実が捻じ曲げられてきた理由は、近代観念に侵された日本の歴史家にある。それは、近代観念の先生であるヨーロッパ人から、日本人は革命を起こしたことが無いと言って非難されたく無かったからである。なぜならば、ヨーロッパ人にとって、ある国で革命が無かったということは、その国の民は後進的であることを意味するからだ。

ところが、日本の長い歴史の中に、革命があったことを示す記述を見出すことが出来なかった。このままでは、日本人には救い難い欠陥があると見なされる。そこで日本の多くの歴史家は、古い史料の中に農民たちの不満が読み取れる些細な出来事を探しだして、一揆として数え、革命の意思があったことを証明しようとしたのである。(262727

しかし、江戸時代の日本の実態は、同時代のヨーロッパ諸国と比べて、自冶が高度に機能いしていた。それは、庶民は共同体のなかで生かされ充足をえて、高度な庶民の自治組織を作っていたからである。

そのような共同体を、幕府は肯定しながら組み込み統合した。そうであるがゆえに、小さな政府が可能になった。しかし現代は、共同体を解体しておおきながら、国家の統合にお金がかかることを理由に、小さな政府を声高に叫ぶという矛盾した行動をとっている。

このように見ていくと、本源性が高い高句麗出自の東の日本の坂東武士が統合した江戸時代は戦争も一揆もほとんど無く、薄汚い権力闘争に明け暮れる百済出自の西の日本の天皇が統合する明治以降は、一揆もふえ戦争も繰り返し行われたことになる。

たとえば「学校一揆」はその好例である。江戸時代の、周りの人々と同じように秩序を乱さず一人前に生活できる能力の養成を目指す共同体の教育法において、一番嫌われるのは手前勝手、横着、自分さえよければいいという態度である。

しかし明治以来の学校教育はその対極にあった。それゆえ、当時の庶民にとって近代思想に基づく学校教育は、現実の役に立たないどころか、村落共同体を破壊しかねないものだった。そのような学校教育を押し付ける国家に対する反発として「学校一揆」や「学校焼き討ち」が起こったのだ(241731)。また、戦争については説明する必要の無いくらい自明なことだ。

このように近代思想は、共同体を破壊する。フランス革命では、金貸しの奴隷でしかない労働者を市民と呼び、彼らの自意識を満足させ、金貸しは思い通りにクーデターを起こさせた。この騙しに使われた強力な武器が近代思想である。

よってこの思想は、ことごとく本源性を否定する。そして、その思想に染まった金貸しの手先の御用学者が、理屈を唱えればとなるほど、人々は本源性を失い、不幸な社会になっていく。これが明治以降の日本の歴史であり、現在、すでに国家崩壊にいたる危険水準に達している。

このような近代思想による染脳事例として、江戸時代の否定、明治以降の近代社会の賛美という、現在常識とされる歴史観がある。このようなウソは事実さえ調べればすぐわかる。よって、ここを転換することで、日本は、かつての共同体を取り戻し、大きく未来に踏み出すことができる。
 
 
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