市場の支配構造
307689 日本の大企業・富裕層はタックスヘイブンで世界第2位の巨額な税逃れ、庶民には消費税増税と社会保障削減 その2
 
達磨防人 15/09/12 PM08 【印刷用へ
続きです。
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■日本はアメリカに次ぐ55兆円をケイマン諸島へ投資

――日本におけるタックスヘイブン問題の実態はどうなっているのでしょうか?

 日本のデータはあまり新聞報道されませんが、最近、『しんぶん赤旗』(2013年8月25日付)が報道したところによると、日本の大企業も例外ではなく、東証に上場している時価総額の上位50社のうち45社――つまり上位50社のほとんどが子会社をタックスヘイブンに持っており、子会社数は354にのぼり、その資本金の総額は8.7兆円にもなるということです。これは具体的に有価証券報告書を調べた結果の数字で、そのベスト5を見ると、みずほフィイナンシャルグループのタックスヘイブン子会社が45社でトップ。続いてソニーが34社、三井住友フィナンシャルグループが27社、三井物産27社、三菱商事24社となっていて、銀行や商社が多くなっています。特に三井住友フィナンシャルグループはケイマン諸島だけで18の子会社を持っていて、その資本金は3兆円にものぼっています。国が出資しているNTTやJTも多額の資産をタックスヘイブンに投じているという事実が明らかになっています。

 ケイマン諸島だけに限っても、日本の投資残高は55兆円に達していて、アメリカに次いで2位になっています。続いて、イギリス23兆円、フランス20兆円、ドイツ17兆円で、後に続く各国を合わせた額に相当するぐらい日本はタックスヘイブンを利用しているということがこの調査で明らかになっています。

■タックスヘイブンとは何か?
――そうした実態があるわけですが、そもそもタックスヘイブンとはどういうものなのでしょうか?

 「タックスヘイブン」という言葉を翻訳すると「租税回避地」となります。しかし、じつはタックスヘイブン=租税回避地の明確な定義は国際的にまだ確定したものはありません。

 タックスヘイブンについて一番早い段階で判断基準を示したのがOECD(経済協力開発機構)です。1998年にOECDは、「有害な税の競争」という報告書を出し、タックスヘイブンの次の4つの指標を示しました。

(1)まったく税を課さないか、名目的な税しか課さない。――これがタックスヘイブンの最大の特徴です。
(2)情報公開を妨害する法制がある。――たとえばスイスや他のタックスヘイブンの国は秘密保護法を持っています。法律によって情報を制限しているわけです。
(3)透明性が欠如している。――要するに情報がないということですが、たとえば持ち主がはっきりしない会社や、匿名の預金や基金などがそれに当たります。
(4)企業などの実質的な活動が行われていることを要求しない。――つまり何もやっていないペーパーカンパニーであっても設立が認められるということです。

(中略) 

■世界中に存在するタックスヘイブン

(中略)

リンク

(中略)

■タックスヘイブンに隠されている資産額は?
――タックスヘイブンにどれくらいの資産が隠されているのでしょうか?
 昨年、タックス・ジャスティス・ネットワークというイギリスの代表的な市民運動団体が試算したものによると、タックスヘイブン全体で最低21兆ドル、最高32兆ドルの試算が隠されているということです。これをイギリスの新聞「ガーディアン」が報道し、タックスヘイブンに隠された資産としてこの数字が一般的によく使われています。

 では、これだけの資産でどれだけの税収が失われているかというと、たとえば最低ラインの21兆ドルの場合、金利を少なめに見積もって3%だとし、それに課税される場合の30%税率を仮にかけた場合でも、1,890億ドルの税収が本来得られたはず、ということになります。日本円にすれば約19兆円ですね。これをマックスの32兆ドルで計算すると2,880億ドル、30兆円近くになります。これは日本の税収の半分以上です。それくらい失われているということです。しかし、これは個人資産だけの数字ですから、企業資産も含めれば実際にはもっと多くなります。

(中略)

■なぜいまタックスヘイブンが注目されるのか
――いまタックスヘイブンが注目されているのはなぜでしょうか?
 それは、各国とも財政が厳しくなっているからです。歳出がどんどん増え、削減しても増えていくのに対し、歳入が追いついていかない。▼図表2は先進主要国の歳出・歳入の対GDP比の推移です。たとえばOECDの平均の統計で一番新しい2013年の数字を見ると、GDPに対する歳出が41%を超えているのに対して歳入の方は37%、つまり歳入がかなり不足している状況です。これはどこの国でも同じです。日本は相当な赤字ですが、他の国も皆そういう状況になっていて、財政が悪くなっている。特にリーマンショック以降、どんどん財政支出が膨らみ、財政状況はどの国も深刻です。

リンク

 しかも、税収の内訳を見ると、所得税の総税収に占める割合は70〜80年代には30%台であったのが、その後20%台となり、しだいに減る傾向にあります。法人税は各国とも税率引き下げ競争によって税率は引き下げられる傾向にありますが、税収は一定比率を保っているということも特徴のひとつです。そこで問題なのは、不足した部分を補うために、ヨーロッパでいえば付加価値税、日本でいえば消費税に当たるものですが、これがずっと増え続け、税収の20%以上を占めるに至っているということです。それは今や法人税の税収の2倍以上という状況です。

 間接税の増税も限界があり、各国でも反対が強まる状況のもとで、各国とも大企業や大金持の課税の抜け穴を封じよという国民の声に背を向けることはできなくなっているのでしょう。
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(引用終わり)
 
 
 
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