生物の起源と歴史
307642 変異促進機能という概念で生物史を読み解く
 
本田真吾 HP ( 壮年 建築家 ) 15/09/10 PM10 【印刷用へ
生物は同類他者を作り出すことにより外圧に適応してきた。その、代表的な機能が雌雄分化だが、変異促進機能という概念で生物史をみていくと、雌雄分化以前からその機能は実現されているようだ。

1. 生物進化の根元にあり、始原生物に近いる耐熱菌(原核生物)
《単純分裂=無性生殖》


始原生命体に近い耐熱菌の遺伝子は、この後に進化した大腸菌などの遺伝子に比べて、半分以下の小さなもの。そして、そのほとんど(92%)が現在も設計図として機能している。ここでは、生命誕生間もない時期に、ただ命をつなぐことが最大課題で、有り合わせの材料を無駄なく使用し、簡単に分裂できることで適応した。

2. その後進化した原核生物(大腸菌など)
《単純分裂=無性生殖が主だが、接合により遺伝子注入という変異促進機能を持つ、雌雄同体》

耐熱菌に比べ、普段は使用しない遺伝子をたくさん持っている。この遺伝子の代表は、プラスミド(やファージ)と呼ばれ、細菌の分裂増殖を担う染色体遺伝子とは別れて存在し、サイズも染色体遺伝子よりかなり小さい。これにより、外圧適応のために、変異要素としての遺伝子を他集団と共有。遺伝子交換の方法は、接合と呼ばれる、他集団個体への遺伝子注入や、環境水中に溶存態の断片DNAを利用などがある。

3. 真核単細胞生物(ゾウリムシなど)
《単純分裂=無性生殖が主だが、接合により遺伝子交配という変異促進機能を持つ、雌雄同体》

真核細胞になり、原核細胞に比べはるかに複雑になるが、単純分裂で増殖。しかし、500回程度の分裂しかできない。細胞内には、大核=代謝専用、小核=遺伝子交換専用の2つの核をもち、他の個体と接合により、減数分裂した小核遺伝子の交配を行い、それを複数転写して大核遺伝子を総入れ替えすることで変異を実現する。そうすると、また500回分裂できるようになる。

4. 真核単細胞生物(クラミドモナス)
《単純分裂=無性生殖が主だが、同型配偶子による遺伝子交配という変異促進機能を持つ》

もともと、減数分裂をした状態の1倍体遺伝子を持つ個体。普段は単純分裂だが、他個体と合体し2倍体の接合子をつくり遺伝子交配、発芽して減数分裂を行って複数個体を作ることもできる。基本的に全てが生殖細胞(有性生殖も無性生殖も行える)とも見ることができる。

5. 真核単細胞生物の群体(プレオドリナ)
《単純分裂=無性生殖が主だが、異形配偶子による遺伝子交配という変異促進機能を持つ》

クラミドモナスが、100個程度集まった群体。一部の細胞が生殖細胞になるが、どの細胞ででも生殖細胞になれるという意味で、生殖細胞専門の細胞が出来たわけではない。この生殖細胞は大きく栄養を溜めた雌型配偶子と運動能力の高い雄型配偶子に別れ、それらが接合子を作り遺伝子交配を行う。この配偶子は、運動能力の差はあるが双方とも移動能力を持ち合わせている。

6. 真核単細胞生物の群体(ボルボックス)
《単純分裂=無性生殖が主だが、精子と卵子による遺伝子交配という変異促進機能を持つ》

クラミドモナスが、1000〜10000個程度集まった群体。それぞれの細胞が細い糸で連絡しあうという多細胞に近い機能をもつ。ただし、一部の細胞が生殖細胞になるが、どの細胞ででも生殖細胞になれるという意味で、生殖細胞専門の細胞が出来たわけではないので、群体に分類されている。

ここでは、栄養を溜めため運動能力の無い卵子と、運動能力は高いが極めて小さい精子が誕生し、遺伝子交配を行う。

※これ以降、多細胞化して、体細胞と生殖細胞が明確に分化する殖産分化にいたるが、この段階では体細胞は明確に分化しては無く、どれも生殖細胞とも言える。

また、変異促進機能は有性生殖の原型でもあり、多細胞化に先立ってこのような機能が獲得されたことにより、明確な雌雄分化ができるようになったとも言える。

これ以外に、ウィルスによる変異促進機能は、原核生物から真核生物まで普遍的に存在する。
 
 
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