世界各国の状況
299147 バルダイ国際会議におけるプーチン演説(1)
 
THINKER・鶴田 HP ( 40代 自営業 ) 14/12/13 PM03 【印刷用へ
 バルダイ国際会議(英語:Valdai International Discussion Club)は、2004年に創設。名称は初年度開催地ノヴゴロド市近くのバルダイ湖に由来。同会議は、ロシア知識人と世界的知識人らが活発な意見交換を行い、ロシア国内と世界規模の政治、経済、社会問題について、独立、公平な立場から科学的分析を行うことを目的とする。
 これまで、世界50か国を超える国際的学術団体から800名を超える代表者が会議に参加。参加者には、ハーバード大学、コロンビア大学、ジョージタウン大、スタンフォード大、、ロンドン大、カイロ大学、テヘラン大学、華東師範大学、東京大学、テルアビブ大学など、世界的有名大学の教授が含まれる。

 以下は、2014年10月24日に開催されたバルダイ国際会議におけるロシア連邦大統領ウラジミール・プーチン氏の演説内容(ロシア大統領府HPから引用リンク)。(翻訳:鶴田ナオキ)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 参加者の方々へ、第11回バルダイ国際会議に皆様をお迎えでき、うれしく思います。

 先日伝えられました通り、今年から本会議には、国内の非政府組織、専門家グループ、一流大学など新たな共催団体が加わりました。これは、ロシア国内の問題だけでなく、グローバルな政治や経済問題まで議論を広げるためでもあります。

 組織と内容の双方における今回の変革は、先導的な討論の場であり、専門家の手によるフォーラムとしての当クラブの影響力を強めるものとなってくれるでしょう。同時に、この自由でオープンな雰囲気、あらゆる種類の見解や率直な意見を表現できる「バルダイ精神」が今後も変わらず続くことを願っています。
 
 その意味において、私はあなた方の期待を裏切らないように率直に話します。少し厳しく聞こえることがあるかもしれません。しかし、私たちがそれぞれの思っていることを率直かつ正直に話すのでなければ、このような会議を開く意味はありません。意味のある発言を排除した外交的な集まりを開いた方がましでしょう。そうすれば、ある有名な外交官が言った、外交官は真実を話さない舌を持っているという言葉の意味がわかるはずですから。

 私たちがここにいるのは、そのような目的のためではありません。お互いが率直な話し合いをするために集まったのです。ここでは、ストレートで率直すぎるほどの意見交換が求められます。それは互いを傷つけるためでなく、世界で本当に何が起きているのか、その現実に辿り着くためです。なぜ世界がますます危険な場所になり、予測不能な状態に陥っているのか、なぜ私たちの身の回りのあらゆる所に恐れが蔓延しているのか、これらのことを理解するための話し合いです。

 
 本日は、「新しいルール作りか、それとも、ルールなきゲームをしていくのか」というテーマでディスカッションを行いました。この提案は、今日、われわれが歴史的ターニングポイントに到達し、全員に大きな選択が迫られていることを伝えるものでした。急速に変化する世界という考えは、何も目新しいものではありません。それについては、みなさんが、今日議論されたかと思います。世界規模で起きている政治、経済、人々の生活、産業、情報分野、技術分野における劇的な変化は、今やそれを感じない方が難しいほどです。
 

 これから私の話すことは、ディスカッションの内容の繰り返しに終わるかもしれないことを予めお断りしておきます。それは避けようがありません。みなさんは詳細な議論をされたと思いますが、ここで私の見解も述べておきます。私の見解と幾分、軌を一にする参加者もいるでしょうし、そうでない方もみえることでしょう。

 今日の世界の置かれた状況を分析する際、歴史からの教訓を忘れてはなりません。第一は、世界秩序の変化です。私たちが今、目にしているのはそれほど大規模な出来事です。これは通常、世界規模の戦争や衝突の後、それ以外では、激しい地域紛争の連鎖の後に起きてきました。二つ目は、世界で起きている政治上の駆け引きの目的のすべては、結局のところ、誰が経済覇権を手にするか、もしくは、戦争と講和条件や人権を含む人道的側面に関するものだということです。

 世界は今、矛盾に満ち溢れています。われわれの一人ひとりがお互いに、正直な気持ちから、果たして社会に信頼できる安全策が取られているのか、話し合う必要があります。残念ながら、現在の世界および地域のセキュリティシステムでは、大変動や動乱が起きた際に私たちを守ってくれる保証も確実性もありません。これらのシステムは、弱体化し、分断され、本来の形からかけ離れたものになっています。また世界中の政治的、経済的、文化的組織や機関は、国際間においても、地域レベルにおいても困難に直面しています。

 現行の世界秩序を維持する仕組みは、かなり昔に作られました。その多くは、第二次大戦の直後に出来たものです。実際にこのシステムは堅実に機能しました。その背景を明確にしておきます。それは、この体制が単に国家のパワーバランスと戦勝国の権利に基いて作られただけなく、当時の創設者達は互いを尊重し、相手から搾取するのでなく、合意に達する努力をしていたことです。
 
 ここで話しておきたい要点は、今後はそれが進化していく必要があることです。現行の体制には数々の欠点がありますが、少なくとも、世界の諸問題を制御可能なレベルに抑え込み、国家間の熾烈な自由競争を規制できる程の進展が必要です。

 過去数十年の間、チェックアンドバランス(権力の抑制と均衡)が機能しなかったことは明白です。そして、数々の努力と困難を経験したにもかかわらず、代替案もないまま、ただそれも葬り去ろうとしています。そうなれば、私たちに残された問題解決の手段は暴力以外になくなるでしょう。

 私たちに必要とされていたことは、これまでの体制を国際関係のシステムにおける新しい現実に対応できるように合理的な建直しをすることでした。しかし、アメリカは、自ら冷戦の勝利者を宣言し、その必要性を理解しませんでした。世界の秩序と安定に不可欠な新しいパワーバランスを作り出す代わりに、極端な不均衡を生み出すシステム作りに邁進していったのです。

 冷戦は終結しました。しかし、そこには講和条約などありませんでした。それまでの協定を今後も尊重していくのか、もしくは新しい法整備や規範を作るのかといった明確な取り決めはなかったのです。このため、冷戦の「勝者」が、次々と事件を起こし、自らの要求と権益に合致するように世界を作り替えるべく動き出していった感があります。それまでの国際関係上のシステムや国際法、チェックアンドバランス(権力の抑制と均衡)に関する制度のうち、彼らの障害となるものは、時代遅れで価値がないものとして即座に撤廃されていったのです。

 例えは悪いですが、これは巨万の富を得たにわか成金の振る舞いです。この場合、アメリカが手中に収めたのは、世界のリーダーシップと支配権です。財産を賢く管理するかわりに、自分の利益のためにそれを使ったのです。彼らは多くの愚行を犯しました。 (続く)
 
 
  この記事は 298469 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_299147

 この記事に対する返信とトラックバック
299227 バルダイ国際会議におけるプーチン演説(2) THINKER・鶴田 14/12/15 PM04

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、43年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp